ガンドラックが「2007年の再来」と言い切った。DoubleLine CEOのジェフリー・ガンドラック氏がブルームバーグのインタビューで発した言葉は短いが、その重さは小さくない。リーマン・ショックの前夜、あの時も「局所的な問題」と誰もが笑っていた。
世界1.7兆ドル、銀行を通らない融資市場の死角
プライベートクレジットとは、銀行を介さずに機関投資家が直接企業へ融資する仕組みのこと。この10年で爆発的に拡大し、今や世界規模で1.7兆ドルに達するとされている。
問題は「見えにくさ」にある。銀行融資なら監督当局の目が光るが、プライベートクレジットは透明性が低く、流動性にも乏しい。しかも高金利が続くなか、借り手企業の返済余力は静かに削られている。表面に亀裂が走る前に、内側からじわじわと崩れていくタイプのリスクといっていいだろう。
「ガンドラック氏は現在のプライベートクレジット市場を2007年当時の状況と比較し、重大なリスクと連鎖的な波及効果の可能性を指摘した」(Bloomberg、2026年5月7日)
ガンドラック氏が特に強調したのが「ドミノ効果」だ。プライベートクレジットの借り手は中小・中堅企業が多く、1社の返済不能が連鎖的に波及しやすい構造を持っている。2007年のサブプライムローンも、最初は「一部の低信用者の問題」と矮小化されていた。それがどうなったかは、言うまでもない。
ガンドラックが読む「次の震源地」
DoubleLineといえば債券運用で知られるが、ガンドラック氏のリスク警告は過去にも的中した実績がある。2018年の新興国通貨危機、2022年の急速な利上げ局面でも早い段階から異変を指摘していた人物だ。
今回の発言で市場関係者が気にしているのは、プライベートクレジットがどのルートで伝染するかという点。直接の銀行融資ではないため、当初は金融システムへの波及が「見えにくい」まま進む可能性がある。それがかえって怖い、という見方もある。
年金基金や保険会社もプライベートクレジットに多額を投じており、損失が顕在化した時点で影響範囲が一気に広がるシナリオも否定できない。
この先どうなる
FRBが利下げに転じるかどうかが、当面の分水嶺になりそうだ。金利が高止まりしたままなら借り手企業の体力はさらに削られ、不良債権の山が積み上がるリスクがある。一方、急激な利下げがあれば今度はリスク資産全体のリプライシングが起きる。どちらに転んでも「プライベートクレジット」という言葉が頻繁にニュースに登場する日が近いかもしれない。ガンドラックの警告が杞憂に終わることを、誰もが望んでいるはずだが。