FRB利下げ2024の可能性が、インフレ指標の上振れ続きのなかでも「生きている」と確認された——それが今回の会合の最大のニュースだった。FRBは2024年3月、政策金利を5.25〜5.50%に据え置くと同時に、年内3回の利下げ予測を維持した。市場の一部には「インフレが粘着している以上、3回は撤回されるかもしれない」という読みもあったが、ふたを開けたらドットチャートは動かなかった。S&P500は発表後に上昇し、ドルがやや軟化したのも、その安堵感の反映だろう。

ドットチャートが動かなかった、その重さ

パウエル議長ドットチャートというツールは、FOMCメンバー19人が「自分はこの先いつ、どこまで金利を動かすと思うか」を匿名で書き込む散布図だ。今回、中央値は年3回・計0.75%の利下げで変わらなかった。これは「インフレがまだ熱くても、緩和に向かうシナリオは捨てていない」という集団としての意思表示に近い。ただし、あくまで予測であって約束ではない。直近のCPI(消費者物価指数)は2ヶ月連続で市場予想を上回っており、米国金融政策インフレの綱引きは続いている。

「米連邦準備理事会(FRB)は水曜日に金利を据え置き、2024年末までに3回の利下げを予測する方針を維持した。これは、最近のインフレ指標が予想を上回ったにもかかわらず、政策当局者が今年の金融緩和開始軌道を維持していることを示している。」(Reuters, 2024年3月20日)

焦点はもう「3回あるかどうか」より「最初の1回がいつか」に移っている。市場のコンセンサスは6月会合。ただし4〜5月のインフレ指標が再び上振れた場合、9月以降にずれ込むシナリオも十分ありえる。最初の1回が遅れれば、残り2回を年内にこなすのは物理的に苦しくなる。「3回」という数字が3回にとどまるかどうかは、そのタイミング次第だと言える。

円・住宅ローン・新興国——日本人には「他人事」じゃない話

米金利が高止まりすれば、ドルの相対的な強さは続く。円はその逆側にいて、日銀が緩和姿勢から完全に抜け出せないうちはドル高円安の圧力がかかりやすい状態のまま。4月以降も輸入物価の上昇が家計を圧迫する可能性がある。住宅ローン金利は米国内の長期金利に連動しており、据え置きが長引くほど「買い時」を見極めたい購入者は動けない。新興国については、高い米金利が続く間は資本が米国に引き寄せられやすく、通貨安と資本流出のリスクが残る。FRB利下げ2024の「3回」は、ウォール街だけの数字ではないってことだ。

この先どうなる

次の重要な節目は5月と6月のFOMC。それまでに出る雇用統計とCPIが、利下げ開始タイミングを事実上決める。パウエル議長は記者会見で「データ次第」という立場を崩さなかった。米国金融政策インフレの綱引きが6月会合前に決着すれば、最初の利下げが現実になる。そうなれば世界の市場は一斉に動くだろう。逆にデータが再び上振れれば、「3回」の予測そのものが9月のドットチャートで削られるリスクもある。数字は生きているが、保証はない——そのくらいの距離感で追い続けるのが正直なところだ。