AR-15最高裁での合法化――その予測を発したのは、司法省の現役高官だった。トランプ前大統領はその発言をTruth Socialに投稿し、一気に拡散。もし予測通りの判断が下れば、カリフォルニア州をはじめ規制州が積み上げてきた法体系が、文字通り一夜で崩れることになる。

AR-15を「合法」にする第二修正条項の解釈とは

AR-15はアメリカで流通する民間用ライフルの中でも最多クラスの普及率を誇る。セミオートマチック式で、外見がいわゆる「軍用ライフル」に近いことから、銃規制強化を訴える側の象徴的ターゲットになってきた銃器でもある。

カリフォルニア州やコネチカット州などは独自の「突撃銃禁止法(Assault Weapons Ban)」を制定し、AR-15型の販売・所持を厳しく制限してきた。ところがここ数年、連邦下級裁判所で第二修正条項に基づく「違憲」判断が相次いでいる。

第二修正条項は「規律ある民兵の必要性と、武器を保持・携帯する人民の権利」を定めたもの。2022年の最高裁判決(Bruen判決)では「歴史的慣行に根ざさない銃規制は違憲」という新解釈が示され、各州規制の足元が揺らいでいた。今回の予測はその流れの延長線上にある。

「司法省高官、最高裁がAR-15ライフルを全米で合法と宣言すると予測」

この発言がトランプのTruth Social経由で広まったことは、単なる情報拡散以上の意味を持つ。政権内部の人間が司法判断の「見通し」を公言し、それを現職復帰を目指すトランプが後押しする――銃規制をめぐる政治的シグナルとして受け取られたのは間違いない。

各州規制を一掃する「連邦 対 州権限」の衝突

仮に最高裁がAR-15を全米で合法と宣言した場合、影響は銃器の話で終わらない。銃規制の分野では長らく「連邦が最低基準を定め、各州がより厳しい規制を上乗せできる」という暗黙の構図が機能してきた。最高裁判断がその構図を崩せば、銃規制に限らず環境・薬物・移民など他分野の州法にも「連邦優位」の圧力がかかるとの見方がある。

銃規制強化を訴えるEverytown for Gun Safetyなどの団体はすでに警戒モードに入っており、「2024年選挙で保守化が加速した最高裁の構成が、この予測に現実味を与えている」という見立てはトランプの投稿でも触れられていた。

保守系の法学者の間では「Bruen判決の論理を徹底すれば、AR-15規制は歴史的根拠を持たない」とする議論が勢いを増している。一方、リベラル側の研究者は「当時の歴史にAR-15に相当する武器は存在しない。比較自体が無理筋」と反論する。どちらの歴史解釈を最高裁が採用するかが、判断の分かれ目になりそうだ。

この先どうなる

現時点でAR-15を直接争点とした事件が最高裁で受理されたとの公式発表はない。ただ、下級裁の判断が割れている以上、最高裁が「裁量上告」で取り上げる可能性は十分にある。審理入りすれば判決まで1〜2年、その間に各州の訴訟が乱立するシナリオも現実的だ。

銃規制と第二修正条項の合憲判断をめぐる争いは、今後さらに激化するとみていい。司法省高官の「予測」がどこまで本気の読みなのかはわからないが、トランプがわざわざ拡散した事実は、政治的意図として読んでおいた方がよさそうだ。