ノルドストリーム爆破から2年以上が経った今、米情報機関がついて内部結論を文書化した——その報告書が近く公開される見通しだとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。驚かされるのは犯人像だ。ロシアではなく、「ウクライナ支持派グループ」の関与と結論づけているという。

バルト海破壊工作、NATO内側からの作戦だったのか

2022年9月、バルト海の海底でノルドストリーム1・2のパイプラインが相次いで爆破された。欧州へのロシア産天然ガス供給の大動脈が一夜にして断たれ、エネルギー価格は急騰。ドイツをはじめとする欧州各国が厳冬の危機に直面したのは記憶に新しい。

当初、西側メディアの多くはロシアの自作自演説を含む複数のシナリオを並べていた。ところが今回の米報告書が示す方向性はまるで逆で、ウクライナ支持派グループ——おそらくウクライナ政府と直接リンクしない人物たちによるバルト海破壊工作——が実行したとしているらしい。同盟の「外側の敵」ではなく、内側の協力者に近い存在が動いていたとすれば、話は相当ややこしくなる。

「米情報機関は、2022年のノルドストリームパイプライン爆破はウクライナ支持派グループによるものと結論づけており、バイデン政権はその調査結果を含む報告書の公開を準備している」(ウォール・ストリート・ジャーナル報道より)

ドイツ、スウェーデン、デンマークの三カ国も独自に捜査を続けてきた。スウェーデンは昨年、「捜査の進展が見込めない」として調査を打ち切っている。ドイツは継続中だが、具体的な起訴には至っていない。そこへ米国が公式文書として犯人像を提示すれば、各国の捜査当局は否応なく対応を迫られる格好だ。

ゼレンスキー政権への問い——「関与を知っていたか」

ウクライナ側はこれまで一貫して関与を否定している。ウクライナ支持派グループという表現は、政府の直接命令ではないと含みを持たせているようにも読める。ただ、そういう言い方はかえって疑念を深めるケースが多い。「誰が資金を出し、誰が指揮を執ったのか」——その問いが欧州各国の議会や報道機関から噴き出すのは時間の問題だろう。

NATOの集団防衛の枠組みは、加盟国や協力国が互いに攻撃し合わないという暗黙の前提の上に成り立っている。ウクライナ支持派グループによるバルト海破壊工作が事実だとすれば、欧州の対ロ統一戦線を支えてきた「被害者と加害者」という図式は、少なくとも一部で書き直しを迫られる。ドイツ国内では以前から、対ウクライナ支援の規模を巡って世論が割れていた。この報告書がその火に油を注がないとも限らない。

この先どうなる

報告書の公開タイミングと内容の詳細が今後の焦点になる。どこまで踏み込んだ形で出てくるかによって、ウクライナへの軍事・財政支援を続けるかどうかの議論にも影響しかねない。欧州の主要国が「実は同盟側の誰かがやったのでは」という疑念を抱えたまま支援を続けるのは、政治的に相当しんどい話で、選挙を控えた政権ほど慎重にならざるを得ない。米国がどこまで具体名を出すか——そこが最大の読みどころだ。