王毅・アラグチ会談が北京で行われたのは水曜日。その席で王毅外相が口にしたのは「できるだけ早く応じてほしい」という異例の直接要求だった。ホルムズ海峡の再開を、中国がここまで前面に出して迫ったのは今回が初めてとみられている。

中国が「早期再開」を求めた、シンプルすぎる理由

建前を剥がすと、話は単純だった。中国はホルムズ海峡を通過する原油の最大の受け手であり、封鎖が長引くほど中国経済への打撃は直接化する。外交的な言い回しの裏側に、エネルギー調達という切実な実情が透けて見える。

王毅はこの会談でアラグチに「包括的停戦の達成は急務であり、戦闘再開はいっそう望ましくない」と明言した。中国国営メディアが公開した声明には、こんな一節があった。

「海峡の問題について、国際社会は海峡の正常かつ安全な航行を回復することへの共通の懸念を持っており、中国は関係各者が国際社会からの強い呼びかけにできるだけ早く応じることを望む」

「国際社会の呼びかけ」という言い方は、中国が自国の要求を多数派の声として包む定番の手法。ただ今回は、アラグチのイラン戦争後初の訪中という舞台装置を使って、要求の重さを際立たせた格好だった。

習近平・トランプ首脳会談の1週間前、このタイミングは偶然じゃない

今回の会談が組まれた時期について、複数のメディアが「戦略的タイミング」と報じている。習近平とトランプの首脳会談を約1週間後に控えており、イラン情勢とホルムズ海峡の再開が議題に上がることはほぼ確実視されている。

北京としては、その前にアラグチと直接話して「中国はすでに動いている」という既成事実を作りたかったんじゃないか、という見方が自然に出てくる。調停役として存在感を高めながら、米中サミットでも主導権を握る——そういう二重の計算が読めるといえば読める。

王毅はあわせて、イランが核兵器開発をしないとコミットしていることを「評価する」とも発言した。これはイランを完全に突き放すつもりがないというシグナルでもあり、ホルムズ海峡 再開 中国という利益を守りながらも、テヘランとのパイプは維持するという綱渡りの姿勢といえる。

この先どうなる

最大の焦点は習近平・トランプサミットで何が合意されるか、そしてその結果がホルムズ海峡再開に向けた具体的な動きにつながるかどうかだ。今回の王毅・アラグチ会談で中国が直接圧力をかけた事実は、少なくとも交渉のテーブルを広げた。ただイランが「できるだけ早く」に応じるかは別の話で、現場の軍事的な緊張が交渉のペースを決めてしまうことは過去のケースが示している。海峡の封鎖が1日続くたびに原油の流れが細くなり、その焦りが中国外交をどこまで動かすのか——しばらく目が離せない局面が続きそうだ。