停戦合意後、初のベイルート空爆——4月16日にトランプ大統領が「停戦成立」を宣言してから約3週間、イスラエルはついってレバノンの首都中枢に爆弾を落とした。標的は首都南部の拠点ダヒエ、現地時間20時ちょうど。炎上する建物の映像がSNSに拡散した直後、ネタニヤフ首相が自ら「私が承認した」と声明を出した。

ネタニヤフが直接承認——狙われたラドワン部隊の会合

攻撃の標的はヒズボラ精鋭部隊「ラドワン部隊」の司令官だったとされる。現地メディアによれば、部隊幹部が集まって会合を開いていたまさにその瞬間を狙ったらしい。首相自身が承認を表明するケースは珍しく、政治的なメッセージを込めた爆撃という見方もできる。

ヒズボラ側からの公式コメントはまだない。過去の攻撃では反撃声明が出るまでに数時間かかることもあったが、今回は沈黙が続いている。

「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、精鋭ラドワン部隊の司令官を標的とした今回の空爆を自ら承認したと述べた。」(BBC News)

ダヒエはヒズボラの政治・軍事両面の拠点が集中するエリアで、過去の紛争でも繰り返し空爆を受けてきた場所。停戦後にここが攻撃されたとなれば、合意の枠組みは事実上、崩れかけているといっていい。

一週間で120人超——南部だけじゃなくなってきた

レバノン保健省のデータが重い。過去一週間だけで120人以上が死亡しており、女性や子どもも含まれるという。保健省は戦闘員と民間人を区別して集計していないため、実態の把握はさらに難しい状況だ。

停戦合意後もイスラエル軍は南部レバノンへの空爆を続けてきた。軍側は「ヒズボラのインフラと関係者を標的にしている」と説明するが、今回のベイルート直撃は従来の「南部限定」という暗黙のラインを越えたことになる。ヒズボラ停戦崩壊という言葉が現実味を帯び始めた瞬間だった。

イスラエル軍はレバノン南部の国境沿いに今も地上部隊を展開中で、将来的な「緩衝地帯」として維持する方針を示している。停戦交渉のテーブルに乗っていた撤退スケジュールは、いまのところ棚上げ状態のままだ。

この先どうなる

今回のダヒエ空爆で、停戦合意の枠組みがどこまで機能するのか問われることになる。ヒズボラが反撃に踏み切れば、4月以来の「停戦期間」は終幕を迎える可能性がある。一方でヒズボラは昨年来の消耗戦で指揮系統が大きく傷ついており、即座の全面反撃には動きにくい事情もあるらしい。米国がどう動くかも焦点で、仲介役のトランプ政権が圧力をかけるのか静観するのか——その判断次第で、ベイルートの夜景がまた変わるかもしれない。