ECB利上げ2023が一つの頂点を迎えた。2022年7月から数えてわずか14か月、計450ベーシスポイントという異例の連続利上げを経て、欧州中央銀行(ECB)の主要政策金利がついに4.0%へ到達——ユーロ導入以来、一度も記録されたことのない水準だった。
ラガルドが「利下げ」の2文字を葬った日
市場の一部には、今回の決定をもって利上げサイクルが実質的に終わり、早ければ2024年前半には利下げへ転換するとの期待があった。その空気を、クリスティーヌ・ラガルドECB総裁がひと言で吹き飛ばした。
「借入コストを、インフレ鎮圧に必要な限り高水準に維持する必要がある」——ECB政策会合後の声明より
ユーロ圏のインフレ率は依然5.3%。目標の2倍超で張り付いたまま、好転の兆しは鈍い。利下げを語るのはまだ早い、というのがECBの公式見解というわけだ。
4.0%の金利がドイツとイタリアを直撃する理由
住宅ローン金利の急騰はすでに欧州全域で現実化している。変動型ローンを抱える家庭への圧力は想像以上で、不動産市場の冷え込みは統計にも表れ始めている。
なかでも深刻なのがドイツとイタリアだ。ドイツは製造業の不振と輸出減速で景気後退が現実味を帯び、イタリアは高水準の財政赤字を抱えたまま企業融資コストの上昇に直面する。ユーロ圏インフレの高止まりという同じ問題を抱えながら、その痛みの受け止め方は国によって大きく違う——そこがECBの難しさでもある。
一方で米FRBはすでに利上げ停止の観測が広がっており、ECBとの政策の方向感のズレがユーロ高・ドル安を引き起こしやすい構図になっている。ドル安は円相場にも影響し、円高方向への圧力として日本の輸出企業の収益を圧迫しかねない。「欧州の話」と切り捨てられない理由がここにある。
この先どうなる
市場が注目するのは次の一手ではなく、「いつまで4.0%を維持するか」という時間軸に移りつつある。ユーロ圏インフレが2%台へ鈍化するシナリオが明確になるまで、ECBが金利を動かす可能性は低いとみられる。ドイツやイタリアの景気指標が悪化を続ければ、ラガルドへの政治的圧力も高まるだろう。早期利下げを否定した姿勢がいつ試されるか——それが2024年前半の最大の焦点になりそうだ。