ホルムズ海峡封鎖が新たなフェーズに入った。米軍ヘリコプターがイラン革命防衛隊の高速艇7隻を攻撃・撃破し、同じ日にイランはUAE最大の石油港フジャイラを攻撃——港に火災が発生し、韓国船籍の船も被弾したと報じられている。
フジャイラ炎上と高速艇7隻、同日に起きた「二正面作戦」
トランプ大統領は「7隻の小型艇を撃沈した。あれが残り全てだ」と言い切った。ただ、米軍が使ったのはヘリコプター。海峡を巡る戦いが、いまや水上と空中の両方で展開されているわけだ。
フジャイラはUAEのホルムズ海峡出口に位置する石油の積み出し拠点で、封鎖を迂回するルートとして注目されていた港でもある。そこが炎上したのは偶然じゃないだろう。戦略的に意味のある標的を狙ってきた、という見方が自然に浮かぶ。
この海峡が詰まれば、世界の石油・LNG輸送量の約20%が止まる。2月の米・イスラエルによる空爆を機にイランが封鎖を始め、4月の停戦後も「実質通行不能」の状態は続いてきた。
「ホルムズ海峡の情勢は、政治的危機に対する軍事的解決策など存在しないことを明確にしている」——イラン・アラグチー外相(BBC報道より)
アラグチー外相はさらに「プロジェクト・フリーダムはプロジェクト・デッドロック(行き詰まり)だ」とも皮肉った。封鎖を破ろうとすればするほど、むしろ泥沼化する——そう読んでいるらしい。
マースク船は脱出成功、でも1隻だけ
トランプ政権が発動した「プロジェクト・フリーダム」は、米軍が護衛しながら商船を海峡突破させる作戦だ。海運大手マースクのUS籍船が護衛付きで通過に成功し、「乗組員は全員無事」と同社はBBCに確認している。
ただ、脱出できたのは今のところ1隻。フジャイラ炎上と高速艇攻撃が同日に起きたことを考えると、1隻の成功が「作戦は機能している」の証拠になるかは、まだ疑わしいところがある。原油市場はこの封鎖長期化を織り込み続けており、供給不安が価格に張り付いた状態が続いている。
この先どうなる
米軍がフジャイラ攻撃に対してどう応じるかが、次の焦点になりそうだ。プロジェクト・フリーダムによる護衛通過が続くなら、イランは妨害の手を緩めるか、さらに激しく出るかの二択を迫られる。一方でアラグチー外相の言葉が示すように、イランは「軍事的には決着しない」という立場を崩していない。外交交渉の糸口が見えない限り、ホルムズ海峡封鎖という「詰まった水道管」が開通する見通しは、まだ立っていない。