修正14条第3節が、まさかこれほど大きな舞台に引っ張り出されるとは——そう感じた憲法学者は少なくなかったはずだ。2024年大統領選の予備選シーズン真っ只中、コロラド州最高裁はドナルド・トランプ前大統領を投票用紙から排除するという前代未聞の判断を下した。南北戦争後に設けられた「反乱関与者の公職排除条項」を、160年以上の時を経て現役の大統領候補に適用しようとしたわけだ。だが連邦最高裁は、9対0という一切の例外なき全会一致でそれを否定した。

コロラド州最高裁が踏み込んだ「前例なき判断」の中身

コロラド州最高裁が下した判断のロジックはこうだった。トランプ氏は2021年1月6日の連邦議会襲撃事件に関与しており、修正14条第3節が定める「反乱または暴動に関与した者は連邦公職に就けない」という条件に該当する——だから投票用紙への掲載を認めない、というものだった。

この条項が実際に使われた例はほぼない。南北戦争直後の南部連合関係者への適用がほぼ唯一の歴史的事例で、20世紀以降は事実上の「眠れる条文」だった。それを州の司法が独自の判断で現代の大統領候補に適用したのだから、法曹界が騒然としたのも無理はない。

9対0が突きつけた「州には決める権限がない」という一言

連邦最高裁の結論は明快だった。

「連邦公職者または候補者に対する修正14条第3節の適用は州には認められない」——連邦最高裁、2024年

つまり問題の核心は「トランプ氏が反乱に関与したかどうか」ではなく、「その判断を州がしてよいか」という権限の話だったということになる。連邦公職の資格審査を各州がバラバラに行えば、50州で50通りの投票用紙が生まれかねない。それは連邦選挙制度の根幹を揺るがすと最高裁は判断したわけで、ここは保守系・リベラル系の判事を問わず全員が一致した点が興味深い。

コロラド州最高裁トランプ排除の判決が出た当初、他州でも同様の訴訟が相次いでいた。今回の連邦最高裁判断はそれらをまとめて封じる効果を持ち、「各州が独自に候補者を絞り込む」という法的手段は、少なくとも修正14条第3節ルートでは完全に閉じられた格好となった。

この先どうなる

今回の判決が「トランプ氏を守った」と読むのは半分正解で、半分ズレている。最高裁が答えたのはあくまで「誰が判断するか」という手続き論であって、修正14条第3節そのものの有効性や、議会が独自の手続きで適用できるかという問いには触れていない。憲法学者の間では、議会が立法によってこの条項の執行手順を定める道が残されているとの見方がある。

米連邦最高裁全会一致という事実は「制度が党派に勝った瞬間」として記録されるだろう。ただ、2024年選挙後の政治地図次第では、眠れる条文がふたたび目を覚ます日が来るかもしれない。そのとき連邦議会がどう動くか——次の舞台はそこになりそうだ。