ホルムズ海峡護衛作戦が、月曜日から動き出す。トランプ大統領がペルシャ湾に閉じ込められた中立国商船を海峡経由で誘導すると宣言した、その同じ日に、米国防総省はイランの「米艦船ミサイル命中」という主張を真っ向から否定した。同じ海峡で、まるで別の現実が語られている格好だ。

世界の原油20%が通る海峡で、米軍が護衛者に立った

ブルームバーグの報道によれば、トランプ大統領はこの作戦を「人道的措置」と位置づけた。ペルシャ湾で身動きが取れなくなった中立国の商船を、米軍が先導してホルムズ海峡の外へ出す——前例のない動きだった。

「トランプ大統領は、ペルシャ湾に閉じ込められた中立国船舶の一部について、月曜日からホルムズ海峡を通じて誘導を開始すると述べた」(Bloomberg)

世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡が実質的な「戦場」になりつつあるなか、米軍が民間船舶の護衛者として前面に出るのは異例中の異例。しかも相手は、革命防衛隊による商船拿捕が相次ぐイランだ。これが摩擦の火種になりかねないのは、誰の目にも明らかじゃないか——と思っていたら、早速イラン側から「撃破」報告が飛び出してきた。

米国防総省が「全面否定」、情報戦の温度がぐっと上がった

イランが発表した「米海軍艦船へのミサイル命中」。米国防総省はこれを即座に否定した。どちらが正しいか現時点で外部から確認する手段はなく、ペルシャ湾商船封鎖の緊張をさらに高める情報の応酬だけが続いている。

調べてみると、ここ数週間でイランによる商船の強制拿捕が複数報告されており、米軍機のパイロットが生還するケースも確認されていた。米イラン双方が「行動」と「否定」を繰り返すサイクルに入っており、今回の護衛作戦発動はその流れの延長線上にある。単発の事件ではなく、じわじわと積み上がってきた緊張の結果らしい。

原油市場はというと、今のところ大きな価格急騰は起きていない。ただ、護衛船団が実際に海峡を通過するタイミングで何かが起きれば、その反応は数時間以内に出てくるはずで、市場関係者は固唾を呑んで月曜を待っている状況だ。

この先どうなる

月曜日の護衛作戦が無事に終われば、トランプ政権は「人道的勝利」を演出できる。一方でイランが海峡内で何らかの妨害行動に出た場合、米軍が武力で応じるシナリオが一気に現実味を帯びる。米国防総省によるイラン主張の否定が正しければ「情報戦での優位」に過ぎないが、万が一イランの主張に一片の事実があるなら話はまったく変わってくる。ホルムズ海峡をめぐる情報戦と実弾の境界線が、いま最も薄くなっている。今後数日の動向が、原油価格と国際秩序の両方に同時に跳ね返ってくる。