ホルムズ海峡封鎖が、もはや「脅し」の域を超え始めている。米海軍がペルシャ湾内で艦艇の展開位置を変更したのが今週。対してイラン側の当局者は「国際船舶の航行を遮断する権限は我々が保持している」と公言した。双方とも次の一手を相手に委ねている——そんな綱渡りが、世界で最も重要な海峡で今まさに進んでいる。

世界の原油2割が通る「咽喉部」で何が起きているか

ホルムズ海峡は幅わずか約50キロ。にもかかわらず、世界の原油輸送量の約20%がここを通過する。日本にとってはさらに切実で、輸入原油の約90%がこのルートに依存している。

米海軍の動きを調べると、単なる示威行動ではなく、事実上の戦闘態勢への移行と見られる艦艇再配置が確認されている。一方のイランは、革命防衛隊が近年も外国籍船舶の拿捕を繰り返しており、「閉鎖権限」発言は空手形ではない。

「米国とイランがホルムズ海峡をめぐり新たな脅し合いを展開。米海軍艦艇がペルシャ湾で展開位置を変更する中、イラン当局者は国際船舶に対し同海峡を閉鎖する権限を保持していると警告した。」(The New York Times, 2026年5月4日)

ニューヨーク・タイムズはこの状況を「不確実性の極限」と表現している。外交チャンネルは事実上止まっており、偶発的な衝突が連鎖する構図が整ってしまっているらしい。

48時間で日本のガソリン価格はどう動くか

封鎖が現実になった場合、影響は即日で出てくる。アジア向けの原油スポット価格は需給逼迫を織り込んで急騰し、日本のガソリン・電気・食品の物流コストに連鎖する。2022年のロシア・ウクライナ戦争直後に原油価格が1バレル130ドルを超えたときの再来、あるいはそれ以上のシナリオも否定できない。

米イラン対立2026の文脈で見ると、両国がここまで対話チャンネルを閉じたのは核合意(JCPOA)交渉が完全に頓挫した2024年末以降。仲介役を担えるカタールやオマーンも、今回は沈黙が目立つ。原油輸送リスクが現実の数字になるまで、残された時間はそう多くない。

この先どうなる

短期的には、米海軍の「展開変更」がどこまでエスカレートするかが焦点になる。イランが革命防衛隊の艦艇を前進させた場合、海上での偶発衝突リスクは一気に跳ね上がる。外交的に動けるとすればOMANルートだが、現時点では機能していない。

日本政府はすでに石油備蓄放出の検討段階に入っているとも報じられているが、備蓄で凌げる期間は約90日。封鎖が長期化すれば話は変わってくる。ホルムズ海峡封鎖が「48時間以内」という見出しで語られるようになった今、エネルギー輸入の9割をこの一本の航路に頼ってきたツケが問われることになりそうだ。