ナェゴヒャンが韓国の土を踏む。それだけで7年分のニュースになるらしい。北朝鮮のサッカークラブが5月20日、アジア女子チャンピオンズリーグ準決勝に向けてスウォン入りすることを韓国統一部が正式に確認した。選手27名、スタッフ12名の名簿はすでに平壌から提出済み。北の選手が越境するのは、2018年の平昌冬季五輪で南北統一アイスホッケーチームが結成されて以来のことになる。
ナェゴヒャン、アジア女子チャンピオンズリーグ初挑戦で準決勝へ
ナェゴヒャンは今大会が初出場。グループステージではスウォン、ISPEを突破し、準々決勝ではベトナムのホーチミンシティを3-0で下した。純粋なサッカーの実力だけ見れば、出場権をきっちり勝ち取ってここまで来ている。
ただ、準決勝の対戦相手が韓国クラブのスウォンになったことで話は一気に複雑になった。勝てばスウォンか東京ヴェルディが待つ決勝も、同じスウォンで開催される予定(5月23日)。北朝鮮チームが連戦で韓国に滞在する可能性もゼロではない。
「最大の敵対国」と呼んだ相手の地へ
ここ数年の南北関係を振り返ると、この越境の重みがじわじわ見えてくる。北朝鮮はこれまでに韓国を「最大の敵対国」と公言し、統一を目指す方針すら公式に放棄している。1953年の朝鮮戦争停戦から70年以上が経過したいまも、平和条約は存在しない。技術的にはまだ戦争中の二国間で、サッカーボールが転がることになる。
「The rare visit comes with South Korean President Lee Jae Myung seeking to improve strained ties with North Korea.」(BBC Sport)
就任間もない李在明大統領は対北融和路線を探っているタイミングで、このアジア女子チャンピオンズリーグ出場が重なった。韓国政府が統一部を通じて正式承認したのも、偶然というより「扉を閉めない」という意思表示と読む向きもある。ただ、あくまで南北交流2025の文脈で語るなら、これはまだスポーツイベントの域を出ていない、というのも正直なところだろう。
この先どうなる
最大の注目は、5月20日の試合後に何が起きるか、というより「何も起きないかどうか」だったりする。接触が問題なく終われば、次のステップへの布石になりうる。一方で北朝鮮側が試合だけこなして何のコメントも残さなければ、それはそれで「アリバイ的な参加」と見られるかもしれない。李在明政権にとっては、この小さな扉をどう次につなげるかが腕の見せどころ。ナェゴヒャンが決勝まで勝ち進んだら、話はさらに長くなる。