西ベンガル州選挙で、モディ首相率いるBJPが15年ぶりの政権交代を実現させた――そう報じられたのは月曜日のこと。有権者数はドイツ全土を超える1億人規模。ここが「落ちた」ことの意味は、普通の州選挙とはまるで違う重さを持っている。

ママタ・バネルジーが15年守った砦、なぜ今崩れたのか

ヒンディー語圏を席巻し、西部・北東部へと勢力を広げてきたBJP。それでも西ベンガルだけは、長らく手が届かなかった。「ベンガルは議論好きで、文化的な独自性への自負が強い」とよく言われる州で、ママタ・バネルジー率いるTMCが築いた牙城は、一筋縄ではいかない相手だった。

モディBJPの東部制圧が今回成立した背景には、TMC政権への地元の疲弊感と、BJP側が積み上げてきた地道な組織拡張があるらしい。ただ詳細な票差や得票率がまだ精査中の部分もあり、「圧勝」か「薄氷」かは続報を待つ必要がある。

「ベンガル制圧はBJPにとって大きな勝利だ――長年その手が届かなかった約束の地である」――著述家・ジャーナリストのニランジャン・ムコパディヤイ(BBC Newsより)

著名な政治ジャーナリストがこう評するくらいだから、BJP内部での受け止め方もただの「州政権獲得」ではないはず。インド東部という最後のピースが、モディ政権12年の集大成としてはまった格好だ。

同じ日、南インドでも「俳優政治家」が3期政権を一掃

西ベンガルだけで十分なニュースだったのに、同じ月曜日にタミル・ナードゥ州でも激震が走った。俳優出身のヴィジャイが率いる新党TVKが、MKスターリン率いるDMKの3期政権を一気に退けたと報じられている。

タミル・ナードゥは南インドの雄で、これまでBJPがほとんど食い込めていなかった地域。今回勝利したのがBJP本体でなくTVKとはいえ、DMK政権の崩壊は「南の壁」にもヒビが入りはじめたサインとも読める。ただしTVKとBJPが今後どう連携するか、あるいは対立するかは、現時点では見えていない部分が多い。

一夜にして西ベンガルと南インドで地殻変動が起きた。モディBJPの東部制圧が完成しつつある一方で、南部の構図は新たな三つ巴になりそうな予感がある。

この先どうなる

西ベンガル州選挙の結果が確定すれば、BJP政権は2027年に予定される次の連邦総選挙に向けて、東部・南部を含む「全インド政党」としての実績をより強く打ち出してくる可能性がある。ただしベンガルでの統治は、勝利よりも難しいとも言われる。地域アイデンティティが強く、TMC支持層も厚い土地で、政権運営でつまずけば逆風は早い。タミル・ナードゥのTVKが今後BJPとどう距離を置くかも、南インド政治の焦点になるだろう。インドの政治地図が塗り替わったのは確かだが、その色が定着するかどうか――それは今後数カ月の統治次第じゃないか。