フィリバスター廃止——この4文字が、トランプのTruth Social投稿一本でまた政治の中心に引き戻された。感嘆符を三つ並べた短文が波紋を広げている。上院の多数党リーダーへの「命令」とも読める内容で、共和党内からも困惑の声が漏れているらしい。

240年続いた「議事妨害」の正体

フィリバスターとは、上院の少数派が無制限の討論を続けることで法案の採決を事実上封じる慣習のこと。正式な明文規定ではなく、長年の「議会作法」として定着してきた。法案を通すには原則60票が必要で、共和党が現在持つ53議席では届かない。つまり、民主党が7人賛成しないかぎり、どんな法案も止められる仕組みになっている。

トランプが投稿したのはシンプルな一文だった。

「フィリバスターを終わらせろ、そして勝利せよ!!!」(Donald J. Trump / Truth Social)

「勝利せよ」という言葉が示すのは、彼にとってこの問題が政策論争ではなく「勝ち負け」の話だということ。移民規制の強化、大型減税の延長、国防予算の増額——第1期政権で積み残した法案群を、今度こそ一気に通したいという焦りが滲んでいる。

民主党もかつて「核オプション」を使った

ここが面白いところで、フィリバスターの縮小を最初に強行したのは実は民主党だった。2013年にオバマ政権下でハリー・リード上院院内総務が下級裁判所と行政職の承認に限って多数決(51票)で通せるよう規則変更。2017年にはマコネル率いる共和党が最高裁判事の承認にもこれを拡大した。これが「核オプション」と呼ばれる手法で、一般法案への適用まで踏み込めば今度こそ後戻りできない変更になる。

両刃の剣という言い方があるけど、まさにそれ。今は民主党が野党だから廃止を嫌がっているが、政権が入れ替われば立場も逆になる。それをわかった上でトランプは「今やれ」と迫っている格好だ。

共和党上院内では慎重論も根強い。ミット・ロムニー引退後も、リサ・マカウスキーやスーザン・コリンズといった穏健派議員がフィリバスター維持に傾いているとされる。53議席から2人でも離れれば多数決での廃止は成立しない。上院院内総務のジョン・スーンがトランプの要求にどう応じるかが最初の焦点になる。

この先どうなる

トランプ上院戦略の次の一手は、廃止を拒む共和党議員へのプレッシャーをどこまで高められるかにかかっている。過去のパターンを見れば、Truth Socialの投稿は予告ではなく「公開恫喝」として機能することが多い。米国立法改革の分岐点として、今後数週間の上院の動きは要注目。仮に廃止が実現すれば、2025年以降の立法スピードは別の国の話みたいに変わる——そんな可能性が、三つの感嘆符の向こうに見えている。