イラン和平案14項目に対する米国の返答が届いた——しかし中身は、双方が求めるものとはかみ合っていないらしい。イラン国営メディアが伝えたところによると、返答はパキスタンを経由して外務省に届き、現在精査中とのことだった。米側は正式な確認をまだ出していない。
14項目の中身——米軍撤退・海上封鎖解除・30日以内の合意
イランが提示した和平案の骨格は三点に絞られていた。まず、米軍のイラン国境付近からの撤退。次に、イラン港湾への海上封鎖の解除。そしてレバノン攻撃を含む全戦闘行為の停止——これを30日以内に実現せよ、という内容だ。
さらに注目したいのは、提案の言葉遣い。「現在の停戦を延長する」のではなく「戦争そのものを終わらせる」ことに両国が集中すべきだ、とイランは訴えている。停戦の期限管理を繰り返すのではなく、出口を作れ、ということだろう。
一方、トランプ大統領はイスラエルの放送局カン・ニュースの取材に対し、この提案は受け入れ不可だと述べたと伝えられた。土台になる合意がある前に、米国が自軍を引かせるという条件はのめない、というのが根拠とみられている。
バガエイ報道官の一言が、交渉を止めた
ここで引っかかったのが、外務省報道官エスマイル・バガエイ氏の発言だ。
「現段階では、核交渉は行っていない」
米イラン核交渉はワシントンが最重要視してきた議題だった。イランは核兵器を求めていないと繰り返し主張しているが、同時に兵器級に近い水準までウランを濃縮している唯一の非核保有国でもある。この矛盾を解くための対話こそが、米側が交渉テーブルに着く最大の理由だった。
バガエイ氏の発言はその扉を、少なくとも「今は」閉めた格好だ。和平案14項目の協議と、核問題の協議を切り離したい——イラン側の意図はそこにありそうだった。ただし米側がそれを受け入れるかどうかは、別の話である。
同じ日曜日、トランプ大統領はホルムズ海峡で立ち往生している各国の船舶について「米国が誘導する」と表明。海峡の緊張緩和に向けたシグナルとも読めるが、イランへの圧力を維持しながら交渉余地を探る「同時進行の綱引き」が続いている。
この先どうなる
米イラン核交渉をめぐる次の焦点は、パキスタン経由で届いた返答の中身が公表されるかどうかだ。イラン外務省が「精査中」と述べている以上、近いうちに何らかの公式反応が出てくる可能性は高い。ただし、核問題を切り離したままでは米国が本格交渉に応じる理由は薄い。バガエイ外務省報道官の発言が「戦略的な留保」なのか「交渉決裂の予兆」なのか——その判断は、次の一手が出るまで保留しておくしかなさそうだ。