マヨン火山が噴火し、フィリピン当局は2026年5月3日(日曜)に警戒レベル3を発令した。数千人規模の住民が火山南方から緊急避難を余儀なくされており、溶岩流・火砕流・火山ガスという三重の脅威が同時に迫っている。「完璧な円錐形」と称えられるこの火山が、今また牙をむいた。
警戒レベル3とは何か——噴火まで「あと一段階」の緊迫
フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)が定める警戒レベルは1〜5の5段階。今回発令されたレベル3は「マグマが火口付近まで上昇し、短時間以内に本格的な噴火が起こりうる」段階を指す。レベル4になると「噴火が差し迫っている」、レベル5で「大規模噴火が進行中」となる。つまり現時点はギリギリ一歩手前——だからこそ当局は先手を打って大規模避難を指示した。過去の経験から「レベル3で動かなかった住民が犠牲になった」ケースがあったらしく、今回は躊躇なく広域避難命令が出た形だ。
「フィリピン当局は日曜日、マヨン火山の噴火を受けてマニラ南方の数千人が避難したと発表し、警戒レベル3を発令した。」(Bloomberg、2026年5月3日)
避難対象となったのは主に火山南方の集落。溶岩流は重力に従って斜面を流れ下るため、風向きや地形によって被害エリアが変わる。当局が「複合リスク」と表現するのは、溶岩流だけでなく、火砕流(高温のガスと岩石の混合流)と有毒火山ガスが同時発生しうるため。どれか一つでも人命に直結する。
マヨン火山の噴火史——「美しさ」と「破壊力」の50回超
マヨン火山はフィリピン・ルソン島南東部のアルバイ州に位置し、標高約2,463メートル。その完璧な円錐形は観光名所としても名高いが、記録に残るだけで過去50回以上の噴火歴を持つ。1814年の大噴火では周辺の町が埋没し、1,200人以上が死亡したとされる。近年でも2018年に大規模噴火が発生し、7万人以上が避難した。今回の規模がどの程度になるかはまだ見通せないが、歴史を踏まえると楽観できない状況ではある。
フィリピンはリング・オブ・ファイア(環太平洋火山帯)の中枢に位置し、約24の活火山を抱える国。マヨン火山はその中でも活動頻度が高く、「最も危険な美山」と呼ばれることもある。フィリピン噴火の報道が繰り返されるのも、地理的な宿命といっていい。
この先どうなる
PHIVOLCSはレベル3を維持しながら、火口周辺8キロ圏内への立入禁止を継続している。マグマの上昇が止まれば警戒レベルが引き下げられる可能性があるが、逆にレベル4へ引き上げられる局面になれば避難者数はさらに膨らむ。過去の噴火パターンを見ると、活発な噴煙活動が数週間続くケースもあった。農業被害や地域経済へのダメージも無視できない。現地の空港・交通インフラへの影響も出始めており、当面は予断を許さない状況が続きそうだ。