FRB反対票が34年ぶりに4票に達した。2026年4月29日のFOMC決定は表向き「現状維持」だったが、その数字が象徴するのは穏やかな意見の相違じゃない——臨界点を超えた内部分裂だ。

1992年以来、初めて割れた4票

今回の連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利を3.5〜3.75%に据え置くことを決定した。数字だけ見れば無風だが、4名の当局者が反対票を投じたのは異例中の異例。調べると、前回4票の反対が出たのは1992年のことで、それ以降の34年間、FRBはほぼコンセンサス体制で動いてきた。

「反対票が4票に達したのは1992年以来初めてのことだ」(Bloomberg, 2026年4月29日)

問題は票数そのものより、そこに透けて見える対立の構図だ。インフレはまだ完全に鎮まっていない一方で、景気の減速懸念も無視できない段階に入っている。利下げを求める勢力と、もう一段の引き締めを主張する勢力が、同じテーブルに座って睨み合っている——そういう状況らしい。

ウォーシュ新議長で「読めないFRB」が加速する

ここで引っかかるのが、ウォーシュFRB議長という新しい変数だ。パウエル前議長時代は、どれだけ批判を受けても「コンセンサス維持」がFRBの作法だった。ウォーシュ議長はその空気を変えつつある、というより、すでに変わってしまったのかもしれない。

市場が本当に困るのは「上がるか下がるか」ではなく「読めない」ことだ。4票の反対は、次回FOMCで何が起きても不思議ではないというシグナルを世界に発した。サプライズ利下げも、想定外の利上げも、どちらのシナリオもゼロとは言い切れなくなった。

実際、債券市場はこうした不確実性を極端に嫌う。金利の行方が読めない状態が続けば、長期国債の利回りが荒れ、それが株式市場のバリュエーションに跳ね返る。連鎖は速い。

この先どうなる

次回FOMCは6月。それまでの間に出てくる雇用統計とCPIが、内部対立をどちらに振れさせるかを決める材料になるとみられている。インフレ再燃のデータが出れば利上げ派が勢いを増し、景気指標の悪化が続けば利下げ圧力が強まる。どちらの着地になるにせよ、今回の4票が示したのは「FRBは一枚岩ではない」という事実で、それはしばらく消えない。ウォーシュ議長体制が本格稼働し始めた今、FOMCの声明文を読む際には、全会一致かどうかという一行に、これまで以上の注意が必要になってきた。