コール・トーマス・アレン(31)が引き金を引く1時間前、ホテルの部屋で鏡に向かってポーズを取っていた——その自撮り写真が、米司法省によって裁判所に提出された。半自動拳銃、ポンプアクション式散弾銃、3本のナイフ。すべてを体に装着した姿がスマートフォンに記録されていたのは、日本時間4月26日午前9時過ぎのことだった。
午後8時03分、ホテルの部屋で撮られた「準備完了」の一枚
司法省が拘留継続を求める申立書とともに提出した文書によると、アレン被告が自撮りを撮影したのは現地時間20時03分。ワシントン・ヒルトンでホワイトハウス特派員晩餐会が始まった直後の時間帯にあたる。写真には正装の上から肩ホルスターを装着した姿のほか、弾薬入りのバッグ、プライヤーやワイヤーカッターまで確認されており、検察はこれらを「後に現場で回収した物品と一致する」と主張している。
ここで引っかかるのは、準備の周到さだ。複数の武器を持ち込み、わざわざ記録に残す。偶発的な衝動とは言いにくい。検察が「計画性の証拠」として真っ先にこの写真を持ち出したのも、そういう読み方をされているからだろう。
「写真には、アレン被告がホテルの部屋で複数の武器を体に装着した状態で鏡の前でポーズを取っている様子が写っており、鞘付きナイフや弾薬入りバッグも確認されている」(米司法省提出文書・BBC報道より)
被告側は無罪を主張している。ただ、この画像が陪審員の前に示された場合、弁護側がどう対抗するのかは現時点では見えていない。
銃声が響いたあと、トランプとバンスは緊急退避した
事件当夜、アレン被告は警備検問を強行突破してホテルのボールルームに侵入。銃声が響いた瞬間、トランプ大統領、バンス副大統領、複数の閣僚が会場から緊急退避した。シークレットサービス要員1人が銃撃を受けたが、命に別状はなかった。トランプ暗殺未遂を含む複数の連邦犯罪で起訴されたアレン被告は、有罪が確定すれば終身刑に直面する。
ホワイトハウス特派員晩餐会銃撃という事件そのものの衝撃もさることながら、今回の文書提出で注目されているのは「証拠の質」だ。被告自身が犯行直前に撮影・保存した画像が残っていたという事実は、検察にとってほぼ理想的な物証といっていい。
この先どうなる
裁判の焦点は今後、アレン被告の精神鑑定結果と「計画性の立証」にしぼられていくとみられる。検察は自撮り写真を拘留継続の根拠として提出したが、本格的な公判では動機や共犯関係の有無も争点になるだろう。弁護側が無罪を維持するなら、写真の「解釈」を崩す必要がある——それがどれだけ難しいかは、画像を見れば明らかじゃないかと思う。トランプ暗殺未遂事件の審理は、まだ始まったばかりだ。