フーシ派の紅海攻撃が止まらない。米英両軍は2024年2月初旬、イエメン国内13か所の拠点を同時爆撃した。2024年1月に始まった「オペレーション・プロスペリティ・ガーディアン」以降、これで四度目の大規模作戦になる。それでもフーシ派は翌日、またドローンを放った。

世界貿易の12%が通る航路で、何が起きているか

紅海は世界貿易の約12パーセントが通過する大動脈だ。スエズ運河を経由するアジア・欧州間のルートはここを避けられない。フーシ派は2023年10月以降、このルートを航行する民間船舶に対してドローンや巡航ミサイルを繰り返し撃ち込んでいる。

攻撃の名目は「ガザ連帯」。パレスチナ問題を旗印にしながら、実際には国籍や積荷に関係なく多くの船が標的になってきた。大手海運会社は相次いでルートを変更し、喜望峰回りに迂回するケースも増えた。運賃は急騰、物流コストの上昇が各国の輸入物価を押し上げつつある。

「米英両軍は月曜日、イエメンのフーシ派拠点を再び攻撃したと米英当局者が述べた。紅海で船舶攻撃を続けるイラン支援組織に対する一連の打撃の最新事案である。」(Reuters、2024年2月5日)

今回の爆撃は、標的の数と同時性において過去三回を上回る規模だったとされる。米英当局者は「フーシ派の攻撃能力を削ぐことができた」と述べたが、具体的な評価は公表されなかった。

爆撃後に「神の報復」を宣言し、翌朝にドローンを飛ばす組織

調べていて引っかかったのは、攻撃と報復のサイクルがほぼ毎回同じパターンを繰り返している点だ。米英が爆撃する→フーシ派が「神の報復」を宣言する→翌日には紅海で新たな攻撃が確認される。このループが四回繰り返された。

フーシ派がこれだけしぶとい理由の一つが、イランによる支援網だとされている。武器の供給、資金、情報・技術支援。直接的な指揮系統があるかどうかは諸説あるが、イランが革命防衛隊を通じてフーシ派と深く結びついていることは複数の情報機関が認めている。拠点を爆撃しても補給線が生きていれば、消耗のスピードは限られる。

米英のイエメン爆撃には、湾岸諸国や日本・韓国などアジアの同盟国も暗黙の恩恵を受けている。紅海の安全は自国の貿易にも直結するからだ。ただし多国籍部隊への参加表明は少なく、米英が前面に立つ構図は変わっていない。

この先どうなる

軍事作戦だけで紅海の安全を取り戻せるか、現時点では懐疑的な見方が多い。フーシ派を動かすにはガザの情勢変化が必要という分析もあるが、停戦交渉は難航したまま。イランへの直接的な圧力も、核問題・地域覇権をめぐる外交の複雑さからエスカレーションリスクを孕んでいる。

当面は「爆撃→報復宣言→攻撃継続」の消耗戦が続くとみられている。海運各社は引き続き迂回ルートを維持する方針で、紅海通過量が元の水準に戻る見通しは立っていないらしい。次の大規模攻撃がいつになるかではなく、政治的な出口がどこにあるかを問い始める段階に来ているんじゃないか。