ホルムズ海峡封鎖が3か月目に入った今、「稀な通過」という言葉が原油市場を揺さぶっている。Bloombergが報じた内容は一見、好材料のように見える。日本向けの満載タンカーが海峡を抜けた——ただ、その通過は「稀」と形容されるほど例外的なものだった。

3か月間で数えるほど、非イラン船籍の通過記録

ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約20%が通過する、いわば石油の大動脈だ。その海峡が事実上の封鎖状態に入ってから、もうすぐ3か月になる。Bloombergのトラッカーによると、非イラン船籍の通過はほとんど記録されていない。今回の日本向けタンカーが注目を集めたのも、それだけ通過が珍しくなっているからだ。

「日本に関連する満載の油槽船がホルムズ海峡の通過を稀に完了した。同海峡は国際交通のほぼ全面的な事実上の封鎖状態に入って3か月目を迎えている」(Bloomberg)

調べてみて引っかかったのは「稀」という一語だった。突破口と呼ぶには、あまりに孤独な通過だった。外交的な妥協の産物なのか、それともたまたま生じた隙間なのか——その答えはまだ出ていない。

日本への直撃:代替ルートとコスト増の現実

日本の原油輸入の約9割は中東産が占める。その多くがホルムズ海峡を経由するルートを使っており、封鎖が長引けば長引くほど、代替ルートの確保が差し迫った課題になってくる。アフリカ最南端の喜望峰を迂回するルートはコストと時間を大幅に増やし、原油輸送リスクとしてエネルギーコスト全体を押し上げる要因になる。

日本のエネルギー安全保障の観点で見ると、石油備蓄の活用やスポット調達の多様化など、短期対応はすでに動きはじめているとみられる。だがそれは痛み止めであって、根本的な解決ではない。封鎖の第3か月突入は、「一時的な混乱」という見立てが崩れたことを意味している。長期化フェーズへの移行、そう見た方がいいらしい。

この先どうなる

市場が最も注視しているのは、この「稀な通過」が外交交渉の前触れになるかどうかだ。イランと関係国の間で何らかの取引があったのなら、次の通過も続くかもしれない。一方、偶発的な例外だったなら、封鎖は当面解除されないことになる。原油輸送リスクが構造的に高止まりするシナリオでは、日本を含むアジア向け原油の調達コストは今後もじわじわと上がっていく。一隻のタンカーが海峡を抜けた——その事実が示すものが「希望」なのか「例外」なのか、次の通過があるかどうかで答えが出る。