ホルムズ海峡封鎖が長期化するかもしれない——その観測だけで、ブレント原油は水曜夜に一時119ドルを突破した。1日で約7%の上昇。数字よりも気になったのは、その直前に何が起きていたかだった。
シェブロンCEOがホワイトハウス入り、市場が読んだ「シグナル」
火曜日、シェブロンのCEOマイク・ワースをはじめとするエネルギー大手幹部がホワイトハウスでトランプと面会した。表向きの議題は「米国消費者への影響を最小化する方法」。ところがトレーダーたちの受け取り方はまるで逆だった。
「わざわざCEOが集まって対策を話し合っている」ということは、封鎖はすぐには終わらないと政権が見ている証拠じゃないか——そういう読みが市場に広がった。実際、ウォール・ストリート・ジャーナルはこの会談前日、トランプがイランへの港湾封鎖を延長するよう側近に指示した、と報じていた。
「BBCが把握したところによると、シェブロンのCEOマイク・ワースを含むエネルギー業界幹部が火曜日にホワイトハウスでトランプ大統領と面会し、紛争がアメリカの消費者に与える影響をどう抑えるかを協議した。石油トレーダーはこの会合を、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が長期にわたって続くサインと受け取ったようだ。」(BBC News)
会談の中身より、会談が開かれたという事実そのものが材料になった。市場はそういう動き方をする。
世界の石油5分の1が止まる「咽頭部」、2月末から事実上の閉鎖
ホルムズ海峡は、世界の石油・液化天然ガス供給量のおよそ5分の1が通過するルートだ。米・イスラエルによる攻撃が始まった2月28日以降、イランは同海峡を事実上封鎖。テヘランは今月に入り、海峡に近づくすべての船舶を攻撃対象にすると警告している。
ブレント原油価格はこの紛争開始以来、激しい乱高下を繰り返してきた。それでも119ドルという水準は「今月最高値」であり、市場が単なる短期の混乱ではなく、長い消耗戦を織り込みにいった節目と見てよさそうだ。
この先どうなる
焦点は二つ。ひとつは、トランプが実際にイランへの封鎖延長を正式に指示するかどうか。もうひとつは、イランが海峡通過の制限をどこまでエスカレートさせるか。どちらかが動けば、ブレント原油価格は120ドル台を定着させる可能性がある。シェブロンをはじめとするエネルギー各社が「消費者への影響の最小化」を急いでいる以上、ガソリン価格への波及も時間の問題とみた方がよさそうだ。次の動きは、ホワイトハウスの「公式発表」より先に、原油市場の値動きが教えてくれるかもしれない。