ミナブ小学校攻撃から丸2か月、ペンタゴンが公式に語ったのは「調査中」の4文字だけだった。2025年2月28日、イラン南部ミナブの小学校にミサイルが直撃。イラン当局の発表によれば死者168人、そのうち約110人が子どもという。米軍によるイラン攻撃の初動で起きたこの惨事に対し、国防総省はいまも正面から向き合っていない。
米メディアが暫定結論を先に報じた異常事態
3月初旬、米メディアは米軍調査官が「米軍の誤爆だった可能性が高い」と暫定的に判断したと伝えた。だが最終結論はまだ出ていないとされ、ペンタゴン側は追加情報を一切出していない。
BBCが過去の類似事案3件を調べたところ、いずれも民間人死亡が確認された場合、ペンタゴンは1か月以内に詳細を公表していた。今回はその倍の期間が過ぎても何も出てこない。情報開示のスピードという物差しで見ると、今回の対応は明らかに外れ値に見える。
「現在の米国の姿勢は標準的な対応から著しく逸脱している」――米空軍退役中佐・元米中央軍上級法務顧問 レイチェル・E・ヴァンランディンガム氏(BBC報道より)
ヴァンランディンガム氏はイラク・アフガニスタン戦争時に中央軍の法務顧問を務めた人物。その彼女がこれほどはっきりした言葉を使うのは珍しい。さらに元高官5人が同時に透明性欠如を批判したという事実も、ただごとではない空気を漂わせている。
「戦時下の情報統制」か「政治的封印」か、読み方が割れている
見方は二つに分かれそうだ。一つは、最終的な事実認定が固まるまで公表を控えるという軍の通常手順が単純に長引いているというもの。もう一つは、米軍によるイラン攻撃という政治的に極めて繊細な文脈が情報開示を意図的に遅らせているという見立て。
米軍誤爆イランという構図が確定すれば、国際法上の問題だけでなく、攻撃の正当性をめぐる国内外の批判が一気に高まる。子ども110人という数字の重さを考えれば、結論の公表タイミングを誰かが計算している可能性は排除できない。
BBCに対しペンタゴン当局者は「詳細は判明次第提供する」と述べるにとどまった。ペンタゴン情報隠蔽を疑う声が元高官から上がっているという状況は、内部からの圧力がじわじわ高まっていることを示しているかもしれない。
この先どうなる
最終報告書が出た場合、米軍の関与が正式に認定されるかどうかが最初の分岐点になる。認定されれば国際社会からの説明責任要求が強まり、認定が曖昧なままであれば元高官たちのさらなる公開批判や議会での証言要求につながる可能性がある。一方、イラン側も証拠公開と国際機関への提訴を視野に入れているとみられ、外交的な余波は長引きそうだ。子ども110人という数字は、どんな政治計算も最終的には乗り越えられない重さを持っている。