マリ武装衝突が、1週間で地図を塗り替えた。土曜日の夜明け前、首都バマコを含む各地で爆発と銃声が相次ぎ、軍施設のあるカティでは国防相のサディオ・カマラが自爆テロで殺害された。北部の要衝キダルはトゥアレグ系分離主義勢力が制圧。そのわずか数日後、フランスは「情勢は極めて不安定」として自国民に「できるだけ早くマリを離れるよう」異例の退避勧告を出した。
キダル陥落——ロシア部隊が抜けた穴を突かれた
キダルはサヘル北部の要衝で、過去にも分離主義勢力との攻防が繰り返されてきた都市だった。今回の陥落で注目されたのが、ロシア部隊の動きだ。マリ軍事政権を支援してきたロシア部隊が月曜日にキダルからの撤退に合意したと報じられ、その空白を突くように分離主義側が制圧を完了させた格好になっている。
アザワド解放戦線(FLA)の報道官モハメド・エルマウルード・ラマダンはパリ滞在中にAFP通信の取材に応じ、こう宣言した。
「体制はいつかは必ず崩壊する。ガオ、トンブクトゥ、メナカへの進攻も続ける」
彼はパリ訪問について「私用」と説明し、フランス当局との協議を否定した。ただ、首都を離れて敵対国で堂々と会見を開けるという事実は、勢力図の変化を象徴しているように映る。
バマコ政権・フランス・ロシア——三者が同時に揺れた72時間
軍事政権トップのアシミ・ゴイタ将軍は火曜夜、初めて公の場に姿を現し「軍は攻撃者に激しい打撃を与えた」と述べた。ただ「作戦は継続中」とも認めており、状況が落ち着いているとは言いがたい。
キダル陥落という事態は、サヘル地政学においても大きな意味を持つ。フランスは2013年以降、この地域での対テロ作戦を主導してきたが、マリ政権との関係悪化を経て2022年に軍を撤収。その後釜に入ったのがロシアだった。そのロシア部隊もキダルから退いた今、軍事的真空がいつ、どこで再び埋まるのかが見えない状況になっている。英国も同日、自国民への退避勧告を出しており、欧米各国が一斉に「見切り」をつけたような印象を与えた週末だった。
この先どうなる
FLAがガオ・トンブクトゥ・メナカへの進攻を宣言した以上、次の焦点はこの3都市の防衛ラインがどこまで持つかになる。マリ政府はロシアなき後の穴をどう埋めるかも問われており、新たな外部支援の獲得に動く可能性が高い。一方、フランスにとっては、かつて関与してきた地域がじわじわ崩れていく様子を「退避勧告」という形でしか関われない状況が続く。サヘル地政学の再編が本格的に始まったとすれば、その波紋はマリ一国にとどまらないはずだ。