ペルム石油施設攻撃の映像が出回った4月29日、真っ先に目を引いたのは「場所」だった。モスクワから約1100キロ、前線から見れば地図上ではるか後方に位置する内陸の石油インフラが、ウクライナの無人機に直撃されていた。

NASA衛星が捉えた「炎の座標」、ペルム市から24キロ

ウクライナ軍は同日、ペルム近郊の石油施設と制裁対象のタンカー1隻への攻撃成功を発表した。これを第三者の目で裏付けたのがNASAのFIRMS(火災情報リソース管理システム)衛星だった。

「4月29日のNASA FIRMSの衛星画像は、ペルム市から約24キロメートルの地点にある同施設の上空に、熱異常を示す反応を捉えている」(Bloomberg)

ウクライナ側の発表だけなら「情報戦の一環では」と疑いたくなるところを、衛星データが物理的に封じた格好だ。熱異常の座標はウクライナ軍が主張する施設の位置とほぼ一致しており、攻撃が実際に起きたことはほぼ確実とみられている。

制裁タンカーも標的、ロシアの「石油収益」を絞り込む一手

今回の攻撃で見落とせないのが、石油タンカーへの同時攻撃だ。このタンカーはすでに西側の制裁リストに載っている船舶で、いわゆる「シャドーフリート」の一隻と考えられている。

ロシアは制裁をかいくぐるため、国籍を偽ったり船名を変えたりした中古船を使って原油を輸出し続けてきた。その抜け穴を、ウクライナが直接塞ぎにいった形だ。ウクライナ制裁タンカーへの攻撃という選択は、単なる軍事作戦というより「ロシアの外貨獲得ルートを焼く」という経済的な意図が透けて見える。

ロシアの国家予算に占める石油・ガス収入の比率は依然として高い。前線での弾薬消耗戦を続けながら、その資金源となるパイプラインやタンカーを同時に狙う——消耗戦と経済圧力を二本立てで走らせる戦略が、ここにきてはっきりしてきた感がある。

この先どうなる

ペルムへの攻撃が示すのは、ウクライナの打撃圏がじわじわと広がっているという現実だ。ロシア石油輸出の主要ルートや精製施設が今後もターゲットになる可能性は高く、国際原油市場への影響も無視できなくなってくるかもしれない。一方、ロシアは防空網の穴を埋めにくる。この「打撃 vs 防空」のせめぎ合いが、今年後半の戦局を左右する軸の一つになりそうだ。