UAE OPEC脱退が来月、正式に動き出す。加盟から約60年。生産能力でOPEC全体の15%を担い、協調減産の遵守率でも上位に名前が挙がっていた国が、カルテルを去る。エネルギー調査会社MST FinancialのSaul Kavonic氏はこの離脱を「OPECの終わりの始まり」と断言した。軽い言葉じゃない。
「優等生」がいなくなると何が崩れるか
OPECは1960年、イラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・ベネズエラの5カ国が原油輸出国の利益を守るために結成したカルテルだ。UAEは1967年に加盟し、以来ほぼ60年にわたって協調生産の一翼を担ってきた。
問題は「量」だけじゃない。カルテルで厄介なのは抜け駆けする国で、UAEはその逆——割当を守る側だった。その「信頼できるプレイヤー」が消えると、残るメンバーへの疑心暗鬼が深まる。合意は形の上では続いても、実効性は別の話になる。
「UAEの離脱により、OPECは生産能力の約15%と、最も従順なメンバーの一つを失う。」――Saul Kavonic, MST Financial(BBC News)
UAEのエネルギー相は「義務を負わない立場になることで柔軟性が高まる」と説明した。自国の増産投資を最大化したいなら、生産枠の縛りは邪魔でしかない。経済的な合理性として読めば、むしろ遅かったくらいかもしれない。
トランプが1月に仕掛けた圧力、結果を出した形に
今年1月、トランプ米大統領はサウジアラビアをはじめとするOPEC加盟国を名指しし、「世界の残りをだましている」と批判。原油価格を引き下げるよう要求し、関税を使った圧力もちらつかせていた。
今回のUAE脱退で、その流れが一つの「結果」を迎えた格好だ。OPEC崩壊に向けた楔が打ち込まれ、しかもUAEとアメリカの経済連携が深まる入口も開いた。直接の因果関係は慎重に見る必要があるにせよ、タイミングは出来すぎている。
OPECが価格カルテルとして機能し続けるには、主要産油国が同じ方向を向いている必要がある。サウジが仮にカバーしようとしても、15%の穴を埋めながら他のメンバーの逸脱も抑えるのは、かなり重い仕事になる。
この先どうなる
来月のUAE正式脱退後、注目は2点に絞られる。一つは原油価格の動向——供給増の思惑から下押し圧力がかかりやすくなるが、地政学リスクが絡むと話は変わる。もう一つは他のOPEC加盟国の動きだ。UAEの離脱を見て、増産余力を持つ国が追随を検討するシナリオは十分ありえる。OPEC崩壊が一夜で起きることはないが、「まあ大丈夫だろう」と楽観できる話でもなさそうだ。