ホルムズ海峡封鎖が続くなか、イランとの戦争勃発後に初となるLNG輸送船が海峡を通過した——Bloombergが報じた。市場はすぐに反応し、LNG先物価格は即座に下落。ただ、これが恒常的な再開の始まりなのか、それとも一隻だけの偶発的な通過だったのか、現時点では判断できない状況だ。

世界のLNG20%が通る「一本道」で何が起きたか

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾と外洋を結ぶ幅わずか33キロの水路。カタール、UAE、クウェートなどの産油・産ガス国が輸出に使う唯一の出口であり、世界の液化天然ガス取引量の約20%がここを通過する。戦争勃発後、この航路は事実上の機能停止に追い込まれ、欧州やアジアの輸入国は代替ルートの確保に奔走してきた。

日本にとっても他人事ではない。LNG輸入量の相当割合がホルムズ経由であり、封鎖が長引けば電力料金や工場の燃料費に直撃する。実際、封鎖後の数週間でスポットLNG価格は急騰していた。

「イランとの戦争勃発後、初となるLNG輸出がホルムズ海峡を通過した模様」——Bloomberg

今回の船舶通過が確認されると、先物市場では価格が下落した。買い手が代替調達に積んでいたプレミアムが、少しだけ剥がれた格好だ。ただ、一隻の通過だけでLNG輸出再開を宣言するのは早計で、市場関係者の間では「様子見」の姿勢が広がっているらしい。

イランの「蚊の艦隊」と封鎖の実態——そもそも誰が止めていたのか

Bloombergの関連報道では、イラン革命防衛隊の小型高速艇群——いわゆる「蚊の艦隊」——がホルムズ周辺での商船への接近・威嚇を繰り返してきたとされる。正式な機雷封鎖とは異なり、商業船会社が保険料の高騰と拿捕リスクを嫌って自主的に避けるという形で、事実上の封鎖が成立していた。

今回通過した船がどのルートを取り、護衛がついていたのかは現時点で不明。米海軍やその同盟国の存在が背景にあった可能性もあるし、単純にイラン側が黙認したケースかもしれない。どちらにせよ、「通れた」という事実が出たことで、次の船が続くかどうかが焦点になってくる。

この先どうなる

LNG輸出再開が本格化するかどうかは、結局のところイランとの停戦交渉次第というのが大方の見立て。Bloombergは同時期に「和平交渉が暗礁に乗り上げている」とも報じており、一筋縄ではいかない状況が続いている。

仮に定常的な通過が再開されれば、欧州・アジア向けのLNG調達コストは段階的に落ち着いていく可能性がある。逆に今回が単発で終われば、市場の期待は再び萎み、イラン戦争エネルギー問題は長期化シナリオへと引き戻される。

ホルムズが開くか閉じるかで、日本の電気代が変わる——大げさに聞こえるかもしれないけれど、そういう話がまさに今、進行中だ。