ホルムズ海峡封鎖が続いたまま、原油価格が上昇に転じた。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの18kmの水路が閉じている間、エネルギー市場が落ち着く理由はどこにもない。Bloombergが伝えた4月28日のマーケットまとめは、そのざわつきをそのまま数字に映し出していた。
原油と円、同じ日に動いた理由
注目すべきは、エネルギー市場と為替市場が同じ日に大きく動いたこと。日本銀行の政策決定を受けて円が急騰し、ドル円は一時大きく振れた。円高は輸入コストを下げる側面がある一方で、輸出で稼ぐ製造業にとっては収益の圧縮要因になる。トヨタやソニーといった輸出主導の企業にとっては、ホルムズの話より円高の方が即効性のある痛みかもしれない。
この二つが重なった日というのは、市場参加者にとってシナリオを絞りにくい一日だったはずだ。原油高はインフレ圧力を高め、円高はそれを一部打ち消す。どちらの力が勝つか、現時点では読み切れないのが正直なところ。
「中東情勢の混乱がAI・テクノロジーセクターの業績に波及するリスクは限定的」――RBCキャピタルマーケッツ、米株戦略統括 ロリ・カルバシナ(Bloomberg報道より)
RBCのカルバシナがこう言えるのは、AIやクラウド系の企業が物理的なエネルギー輸送に直接依存していないからだろう。ただし「限定的」という表現は、ゼロではないことも意味している。データセンターの電力コストが原油高の連鎖で上がれば、間接的な影響は出てくる。
日銀利上げ、そのタイミングが面白い
日銀が動いたのが、よりによってホルムズ封鎖が続くなかだった点は見ておく価値がある。原油高はそのままインフレ要因になり得る。日本銀行がインフレ目標の達成を見据えて利上げに踏み切ったとすれば、そのロジック自体はわかる。だが円高が輸出企業の業績を削れば、日本経済の回復シナリオは素直に描けなくなる。円高・原油高の同時進行というのは、政策的にも決して楽な局面じゃない。
日本銀行の政策決定がこのタイミングで円を急騰させたのは、海外勢にとっても意外感があったようで、反応の速さがそれを示していた。
この先どうなる
ホルムズ海峡封鎖が解除されるかどうか、現時点で確実なことは何も言えない。封鎖が長引けば、原油価格の上昇は単なる一時的な変動では済まなくなり、インフレ再燃という形で食料品・電気代・輸送コストへと波及していく可能性がある。一方で円高が続くなら、日本の輸入物価の上昇を部分的に抑える効果は期待できる。市場は今、二つの力が綱引きをしている状態。次に注目すべきは、ホルムズをめぐる外交交渉の行方と、日銀が追加の利上げ判断をどのタイミングで出すかの二点だろう。