バイデン 武器供給停止 イスラエル——その決断が公になったのは、ラファへの地上侵攻計画が現実味を帯び始めたまさにそのタイミングだった。対象は重量爆弾1800発超を含む計3500発規模。米国がイスラエルへの攻撃用武器を公式に止めたのは、1973年以来、事実上初めてのことらしい。半世紀ぶりの制限措置——それだけでも、この決定の重さがわかる。

なぜ今、重量爆弾1800発が止まったのか

ガザ南部のラファには現在、100万人超の避難民が密集しているとされる。そこへの大規模地上侵攻に、これだけの破壊力を持つ弾薬が使われる——バイデン政権がそこに「待った」をかけた形だ。

APの報道によれば、バイデン大統領は出荷停止を自ら認めており、ラファへの大規模侵攻への懸念を明確に理由として挙げた。外交的圧力ではなく、武器というカードを使っての意思表示。それが今回の選択だったといえる。

「バイデン大統領は、ガザのラファへの大規模地上侵攻の懸念から、米国がイスラエルへの攻撃用武器の出荷を一時停止したと述べた。」(AP通信)

ガザの民間人犠牲者数はすでに3万4千人を超えたと報じられている。欧州各国もイスラエルへの武器輸出を相次ぎ見直しており、国際的な包囲網が静かに形成されつつあった。そのなかでの米国の動きは、単なる外交上の「注意勧告」とは重みが違う。

米イスラエル同盟に走った「初めての亀裂」

ラファ地上侵攻をめぐる米国制裁——そう呼んでいいかはまだ議論があるが、少なくとも「無条件支援」の時代が終わりつつあるのは確かだろう。

イスラエル側はこれに強く反発。ネタニヤフ首相は公開の場で「同盟国からこんな扱いを受けるとは信じがたい」と発言したとも伝えられている。70年以上続いてきた米イスラエルの特別な関係が、ガザという問題の前で初めてリアルな摩擦音を立てた瞬間だった。

ガザをめぐる米イスラエル同盟のひびは、今後の中東政策全体に波及しかねない変数になりつつある。米国内でも、来る大統領選を前にアラブ系・リベラル票への配慮という国内政治の文脈を抜きに語れない局面でもある。

この先どうなる

今回の停止措置は「一時的」とされているが、再開の条件はまだ明示されていない。ラファ侵攻が本格化すれば停止が長期化する可能性があり、そうなればイスラエルの作戦行動そのものが制約される。

欧州各国の武器輸出見直しと合わせれば、イスラエルが長期戦を続けるための補給ルートは徐々に細くなっていく。一方で、米国がここで引きすぎれば中東における同盟国の信頼を損ねるリスクも残る。バイデン政権が握ったこのカード、次に切られるタイミングがこの戦争の分岐点になるかもしれない。