カリフォルニア航空燃料の調達に、静かな異変が起きている。アジアからの輸入量が10年ぶりの最低水準まで落ち込んだとBloombergが報じた。原因として浮かぶのが、中東・ホルムズ海峡の通航リスク上昇だ。カリフォルニア州は米国内で最大級の航空需要を抱えながら、域内の精製能力は慢性的に足りていない。そこにアジア産燃料の供給減が重なると、話は単なる数字の問題では済まなくなる。

ホルムズ海峡が絞る「太平洋ルート」

アジアから西海岸へ向かう航空燃料のタンカーは、ペルシャ湾・マラッカ海峡・太平洋というルートをたどる。イランをめぐる緊張が高まるにつれ、出荷元となる中東の精製拠点や積み出し港に不確実性が生まれ、船社がルートを避け始めているらしい。ホルムズ海峡の供給危機はオイルの話だけかと思っていたら、すでに精製された燃料の物流にも波及していた、ということだ。

カリフォルニア向けのアジアからの航空燃料輸入が10年ぶりの低水準に落ち込み、供給が逼迫している。(Bloomberg)

アジア燃料輸入の激減がじわじわと在庫を削る中、ロサンゼルス・サンフランシスコといった主要空港での燃料単価は上昇圧力がかかりやすい状況になっている。航空各社がコストを乗客に転嫁すれば、太平洋路線を中心に運賃が上がる可能性もある。

カリフォルニアが特に弱い「精製空白」

ほかの州と比べて、カリフォルニアがこの問題に弱い理由がある。環境規制の厳しさから域内の石油精製所が年々縮小し、燃料の多くを輸入に頼る構図が定着してきた。テキサスのように域内で大量精製できない以上、海上輸送ルートが詰まれば直撃を受ける。今回のホルムズ海峡 供給危機は、そのアキレス腱をついた形だ。

エネルギー市場の専門家の間では「これは地域的な需給の揺れではなく、地政学リスクが日常インフラに乗り移るパターン」との見方が広がっている。アジア燃料輸入 激減が続けば、カリフォルニア州政府が代替調達先の確保や緊急備蓄放出に動く場面も出てくるんじゃないかという声もある。

この先どうなる

鍵を握るのは、ホルムズ海峡をめぐる米・イランの交渉の行方だ。緊張が和らげばアジア産燃料の輸送ルートは再び動き出し、在庫は回復に向かう可能性が高い。一方、緊張が長引けばカリフォルニア州は中南米や中東湾岸の別ルートから割高な燃料を調達せざるを得なくなり、燃料コスト上昇が夏の航空需要期に直撃する最悪のタイミングも見えてくる。太平洋を挟んで何千キロも離れた海峡の緊張が、空港のガソリンスタンドの価格に出る——それが今起きていること。