中央銀行の金利据え置きが、今週これほど一斉に並ぶのは異例だ。Fed(米連邦準備制度)、日本銀行、カナダ銀行の3行が揃って現状維持に踏み切る見通しで、さらにイングランド銀行と欧州中央銀行も同じ判断を下す公算が高い――Bloombergが4月27日付で伝えた。主要5中銀が事実上の同時凍結に追い込まれている。
原油高とインフレ再燃、5中銀を縛る「イラン戦争変数」
各行を動けなくさせているのが、イラン戦争だ。紛争の長期化で原油価格は高止まりを続けており、これがインフレ圧力を再燃させている。利下げに踏み切れば物価に火をつけかねない。一方で、地政学リスクは企業マインドを冷やし、景気を下押しするベクトルも同時に働いている。利上げすれば景気悪化を加速させてしまう。
つまり、どちらに動いてもリスクを取る。だから動かない。当局者が「ホーキッシュな監視を維持」という表現を選ぶ背景には、この進退両難があるらしい。
「米連邦準備制度、日本銀行、カナダ銀行は今週、政策金利を据え置く見通しで、各国当局者はイラン戦争の余波を鷹派的な姿勢で注視している」(Bloomberg、2026年4月27日)
Bloombergのマーク・クランフィールド記者は、5中銀が揃って同様のメッセージを発する構図を指摘した。「ホーキッシュな据え置き」という一見矛盾したポジションが、いま世界の金融政策の主流になっている。
Fed・日銀で温度差、でも方向は同じ「待機」
各行の事情は微妙に異なる。Fedはインフレの粘着性を警戒しつつも、労働市場の軟化を見極めたい段階。日銀は円安進行に敏感になっており、利上げへの布石を打ちたいが、外部環境がそれを許さない。カナダはエネルギー輸出国として原油高の恩恵も受けるが、同時に輸入物価の上昇に苦しむ構造も抱える。
イラン戦争によるFed・BOJへの影響という意味では、エネルギー依存度が高い日本のほうがよりダイレクトに刺さる。原油高は輸入コスト増を直撃し、利下げどころか追加利上げの議論が遠のく一因になっている。これはイラン戦争と原油インフレが日本の金融政策を縛る、というシナリオがじわりと現実になってきた、ということでもある。
この先どうなる
鍵を握るのは、原油価格がいつ落ち着くかだ。イラン情勢に停戦や緊張緩和の兆しが出れば、インフレ圧力が一段落し、Fedを中心に利下げ転換の議論が再浮上する可能性はある。反対に紛争が長引けば、この「動けない状態」が年後半まで続く展開も十分あり得る。市場が最も嫌うのは不透明感なのに、5中銀が揃って「現状維持」を続けるほど、その不透明感だけが蓄積していく。次の動きは、戦況次第――という身も蓋もない結論が、いま世界の金融政策の現在地だったりする。