米GDP2023年、年率3.1%成長。市場予測の2.7%を上回るどころか、「今年こそリセッション」と繰り返した専門家たちの予言を、数字がまるごと飲み込んでしまった格好だ。

FRBが5%超まで上げても、消費者は止まらなかった

2022年から続いたFRBの急速な利上げ。政策金利は5%超まで跳ね上がり、住宅ローン金利は7%台に乗った。教科書的には、これで消費が冷え、雇用が崩れ、景気後退入りするはずだった。

ところが現実はちがった。個人消費は粘り強く伸び続け、雇用市場は月ごとに底堅い数字を出し続けた。コロナ禍で積み上がった「過剰貯蓄」が緩衝材になったという見方もあるし、財政出動の余熱が長引いたという分析もある。どちらが主因かはまだ議論中らしいが、結果として「高金利でも経済は壊れない」という前例が生まれてしまった。これは米国だけの話ではなく、日本やECB、新興国の中央銀行にとっても、利上げ判断の参照点が変わるシグナルになりうる。

「米経済は2023年第4四半期に年率3.1%の成長を記録し、広く予測されていたリセッションを覆す驚異的な1年を締めくくった。」(The Associated Press)

Q4成長率3.1%という数字を分解すると、個人消費の寄与が大きい。サービス消費、特に旅行・外食・医療が引っ張った形で、物価高に追いつけなかった低所得層にとっては別の景色だったとしても、マクロ数値は鮮やかに上振れた。

カードの残高が過去最高、という別の現実

ただ、この成長を手放しで喜べない数字も同時に積み上がっている。米国のクレジットカード債務残高は2023年に過去最高水準を更新した。低所得層の実質賃金は伸び悩み、消費を維持するために借り入れに頼っている世帯が増えているらしい。

つまり、GDPの3.1%は「全員が豊かになった」という数字ではなく、上位所得層の消費と資産効果が平均値を押し上げた側面が強い。カード債務の膨張は、いずれ個人消費の重しになる可能性があって、そこが2024年以降の読みにくいところだ。

FRBのパウエル議長は「インフレが鈍化すれば利下げを検討する」と繰り返しているが、強すぎる経済指標は利下げの先送り圧力にもなる。好景気が利下げを遠ざけるという逆説的な構図が、2024年初頭の市場を揺さぶっている。

この先どうなる

2024年の焦点は、この「高金利でも回る経済」がいつ、どこで摩擦を起こすかに移っている。カード債務の延滞率はすでに上昇傾向で、住宅市場は価格が下がらないまま取引量だけが細っている。FRBが利下げに踏み切るタイミング次第で、年後半の景色はかなり変わってくる。リセッションが来なかった2023年の教訓は、「予測はあくまで予測」というごく当たり前の話を、もう一度市場に思い知らせた1年だったかもしれない。