中国外債の償還期限が、今年だけで1000億ドル規模に積み上がっている。そのタイミングで当局が海外での債券発行審査を厳格化しているとBloombergが報じた。資金調達の出口を塞がれた形になった企業が、いま現金確保に奔走しているらしい。

なぜ今、1000億ドルが重なったのか

背景にあるのは2020〜2021年ごろに積み上がった起債ラッシュだ。超低金利時代にドル建て債券を大量発行した企業が、ちょうど5年後の償還を迎えている。不動産セクターが先に傷んだこともあり、今度は幅広い産業が同じ地雷原に踏み込みつつある格好だった。

米中貿易摩擦が再び激化するなかで、北京が警戒しているのはドルの流出だ。企業が海外で起債して外貨を調達→償還時にドルが流出するサイクルを抑えることで、外貨準備を守ろうとする計算が透けて見える。

「中国は海外借り入れの承認を厳格化しており、一部の企業が資金調達に奔走する事態となっている。」(Bloomberg)

ただし、これは諸刃の剣でもある。海外市場へのアクセスを断たれた企業は国内の銀行融資か自己資金に頼るしかなく、それが詰まれば流動性危機が連鎖しかねない。かつての恒大ショックが頭をよぎる投資家は少なくないんじゃないか。

世界市場への波及ルートはここだった

中国発の信用収縮が怖いのは、波及経路が複数あることだ。まず新興国債券市場全体のスプレッドが拡大するリスク。中国企業のドル建て債券は新興国債インデックスの大きな割合を占めており、格下げやデフォルトが続けばファンドの強制売却が他国の債券まで巻き込む。

加えて、中国企業の資金繰り悪化は設備投資や輸入の縮小を通じてアジア全域のサプライチェーンに圧力をかける。ドル建て債券償還という金融イベントが、実体経済の減速とセットで来るのが厄介なところだった。

この先どうなる

当局が審査を緩めるかどうかは、外貨準備の水準と人民元相場の落ち着き次第という見方が多い。元が安定していれば資本流出への警戒も和らぎ、承認が再び動き出す可能性はある。一方で米中摩擦が一段と深まれば、規制は長期化するシナリオも現実的だ。

今年後半に向けてドル建て債券償還のピークが来るとされており、6〜9月が最初の試練になりそう。中国外債の動向は、新興国市場全体の体温計として当面は目が離せない。