ゴールドマンサックスの原油予測が、また動いた。今回の上方修正は2度目——それだけホルムズ海峡の閉鎖が想定を超えているということらしい。世界の石油輸送量の約20%が通過するこの海峡が塞がれたままで、産油国の輸出能力は落ち、精製業者は在庫を食いつぶしている。ゴールドマンはこれを「ホルムズ・ショック」と名付けた。

在庫が「極端な」速度で消える、その数字

Bloombergが報じたゴールドマンのレポートで目を引いたのが「extreme inventory draws(極端な在庫減少)」という言葉だった。通常の需給ひっ迫なら市場は先物価格で先読みするが、今回はその織り込みが追いつかない段階に入っているとの見立てだ。

「ゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡の長期閉鎖が『極端な』在庫減少を引き起こしているとして、原油価格見通しを引き上げた。」(Bloomberg、2026年4月27日)

ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ幅50キロほどの水路。サウジアラビア、イラク、イラン、クウェートといった主要産油国の石油がここを通らなければ市場に届かない。閉鎖が1週間を超えると、在庫水準の低下スピードが加速する。今はその段階を過ぎているという計算になる。

ガソリン代と物価、生活直撃のルートをたどると

石油価格の上昇がどう生活に波及するか、少し追ってみた。まず原油高→精製コスト増→ガソリン代・電気代の上昇。次に輸送コストが上がれば食品・日用品の物価も連動する。ホルムズ海峡 閉鎖 在庫の問題が単なる金融市場の話では済まない理由がここにある。

さらに厄介なのが中央銀行への波及だ。インフレが再燃すれば利下げの根拠が崩れる。米FRBも欧州中央銀行も、石油価格 インフレ 影響を無視したシナリオは描けなくなる。「利下げ期待で買われていた株式市場にも跳ね返る」というアナリストの声も出始めている。オーストラリアが一部州で交通無料化を打ち出したのも、燃料高騰への対応策として無縁ではないかもしれない。

この先どうなる

焦点は閉鎖がいつ解除されるか、それだけだろう。交渉ルートが動いているという観測もあるが、現時点で確定情報はない。ゴールドマンが「再び」予測を修正したということは、前回の修正が早々に追い抜かれたということ。市場は次の修正をすでに待ち構えている状態で、在庫データが更新されるたびに原油先物が動く展開が続きそうだ。中東の一本の海峡が、世界の物価と金融政策の行方を左右している——2026年の現実は、なかなかシュールではある。