国連安保理で拒否権が行使されたのは、これで3度目。賛成13、反対1——その「1」が、またガザへの停戦決議を消し去った。AP通信によればガザの死者はすでに4万人を超えており、それでも票は動かなかった。
13対1。多数決が意味をなさない場所
安保理の15カ国のうち13カ国が賛成に回ったにもかかわらず、米国の拒否権1票で決議は否決された。この構図、実は今回だけじゃない。紛争が始まって以来、米国はガザ関連の停戦決議を3度にわたって葬ってきた。
「多数決で決まる」という感覚で国連を見ていると、この仕組みには驚くかもしれない。常任理事国が持つ拒否権は、冷戦期の大国間バランスを前提に設計されたもの。だが今この瞬間、それが停戦の最大のブレーキとして機能しているのは否定しようがない。
「米国は水曜日、ガザにおける即時停戦を求める国連安全保障理事会の決議案に拒否権を行使し、紛争開始以来3度目の否決となった。」——The Associated Press
米国側の公式な理由はイスラエルの自衛権への配慮。ただ、2024年の大統領選をにらんだ国内政治との関係を切り離して論じるのは難しい。親イスラエル票田への影響は、外交官たちが口にしないだけで、外交筋の間では半ば「既定事項」として扱われているらしい。
国連が「無力」を証明するたびに何かが削れていく
ガザ停戦決議が否決されるたびに起きていること——それは単に「決議が通らなかった」という話じゃない。ルールに基づいて動くはずの国際秩序への信頼が、少しずつ、着実に削られていく。
ロシアのウクライナ侵攻でも安保理は機能しなかった。そのときも「拒否権という制度の限界」が議論になったが、結局仕組みは変わらなかった。今回も同じ議論が繰り返されるだろう。ただ、繰り返されるたびに「変わらない」という印象が積み重なっていく。
米イスラエル外交の枠組みが変わらない限り、この票の行方も変わらない——というのが今の大方の見立てだ。国連総会では拘束力のない停戦決議が可決されたこともあるが、現場への影響は限定的だった。
この先どうなる
次の焦点は、国連総会での動きと、ガザへの人道支援ルートの維持をめぐる交渉になりそうだ。安保理が機能しないなかで、一部の国はより小さな枠組み——有志国連合や地域機関——での対応を模索し始めている。米イスラエル外交の構図が動くとすれば、米国内政の変化が先になるとみられる。2024年の選挙後にバイデン政権の立場がどう変わるか、あるいは変わらないか。その答えが出るころには、ガザの状況がどこまで進んでいるのか——そこが、いちばん引っかかるところではある。