ホルムズ海峡の二重封鎖が、世界のエネルギー地図を塗り替えようとしている。米軍とイランの双方が同時に航行制限をかけるという前例のない事態が4月に発生し、世界の原油・LNG輸送の約20%を担うこの水道は、事実上の機能停止に陥った。Bloombergが4月26日付で報じたもので、タンカー航路の壊滅的な状況が改めて浮き彫りになっている。
タンカー激減——日本・韓国が受けた直撃
調べてわかったのは、被害の非対称性だ。中東産原油への依存度が高い日本・韓国・インドといったアジア諸国が、欧米に比べてはるかに大きなダメージを受けている。代替ルートとして浮上したのはアフリカ南端を回る喜望峰ルートだが、輸送日数は2倍近く延び、コスト増は避けられない。
スエズ運河を迂回する航路確保でさえひと苦労だったのに、今回はそのスエズ迂回に次ぐ第二の危機と呼ばれている。2021年のスエズ座礁事故が世界に与えた衝撃は記憶に新しいが、今回の損失規模はそれをはるかに超える可能性があるという。
「Trump's Hormuz Blockade Has Deepened a Historic Shipping Crisis」(トランプのホルムズ封鎖が歴史的な海運危機を深刻化させた)― Bloomberg, April 26
見出しにあえて「Trump's」という言葉が使われているのが引っかかった。米側の封鎖措置がイラン側のそれと合わさって、前例のない二重封鎖を生んでいるというわけだ。単純な「イランの暴走」ではなく、米軍の関与が危機を構造的に複雑にしているらしい。
原油供給危機2026——生活コストへの波及はいつか
エネルギーの話は遠い世界のことに聞こえがちだが、ここが直結点だ。原油・LNGの輸送コストが上がれば、電気代・ガス代・ガソリン代という形で数カ月以内に家計を直撃する。タンカー航路の停止が長引くほど、その到達は早まる。
日本の電力会社や商社は代替調達を急いでいるとみられるが、スポット市場でのLNG価格はすでに上昇圧力を受けている状況だった。原油供給危機2026として歴史に刻まれる可能性が出てきている。
この先どうなる
封鎖が解除される気配は、4月末時点で見えていない。米・イランの交渉ルートが存在するかどうかも不透明なままで、長期化シナリオへの備えをアジア各国は静かに進めているところだろう。日本政府がどの段階で戦略的備蓄の放出に踏み切るかが、当面の注目点になる。ただ備蓄には限りがある。封鎖が夏以降も続くようなら、選択肢はずいぶん狭くなってくる。