シャヘドドローン制裁の網が、ついて複数の国境をまたいで張られた。米財務省が今回ターゲットにしたのはドローンそのものではなく、電子部品や航法システムを横流しするサプライチェーンの担い手たちだ。制裁対象には企業と個人が混在し、その拠点は一国に収まらない。調べてみると、これはウクライナの電力網を繰り返し破壊してきた無人機の「兵站」に、ようやくメスが入った瞬間でもあった。

シャヘドはなぜ止まらないのか――迂回ルートの実態

シャヘド136は、低コストで量産できる一方向性の攻撃ドローンとして知られる。エンジンは市販の航空用ピストン型に近く、電子部品の多くは民生品と共通規格だという。つまり、軍需品として厳格に管理されていない部品が大半を占めている。

欧米の輸出規制をくぐるために使われてきたのが、第三国を経由した迂回ルートだ。中央アジアや中東の仲介業者を通じて部品が転売され、最終的にイランの製造拠点に届く。今回の制裁リストにも、そうしたハブ機能を担ってきたとされる企業が含まれているらしい。

「米国は、ロシアがウクライナへの攻撃に使用するイラン製ドローンへ部品を供給するネットワークに制裁を科した。複数の国にわたる企業と個人を対象としている。」(AP通信)

問題は、こうした迂回路が一本ではないということ。一つのルートを潰しても、別の仲介業者がすぐに代替を担う構図が繰り返されてきた。

イランロシア軍事協力、制裁で本当に動くか

イランロシア軍事協力は、ドローン供給にとどまらない。弾道ミサイル技術の共有や、ロシア国内でのシャヘド生産ライン設置まで報じられている。つまり、部品の輸出を止めるだけでは、ロシア国内で完結するサプライチェーンが育ちつつある現実には追いつかない可能性がある。

ウクライナドローン攻撃の頻度は2024年以降も落ちておらず、むしろ夜間の大規模一斉攻撃が増えている傾向が見られた。発電所や変電施設が繰り返し標的になり、市民生活への影響は深刻なままだ。制裁が実際にサプライチェーンを絞れるとすれば、効果が出るまでには相応の時間差があるとみるのが自然だろう。

この先どうなる

米財務省の制裁は、今後も段階的に対象を広げていく可能性が高い。G7各国が連携して追加リストを更新する動きも続いており、金融面での締め付けは強まる方向だ。一方でイランは、制裁下でも核開発関連物資を調達し続けてきた実績がある。「制裁慣れ」した国に対して、同じ手法がどこまで通じるのか。戦場の外で続くこの消耗戦、終わりはまだ見えない。