ホルムズ海峡封鎖が長期化するなか、原油市場に起きていることは価格高騰ではなく、その先にある需要の消滅だったらしい。Bloombergが報じたのは、10億バレル規模の供給途絶が今度は需要そのものを崩壊させるという分析で、ここが少し引っかかった——供給が減れば価格が上がる、ではなく「上がりすぎたから誰も買えなくなる」という反転の話だ。

1970年代以来の連鎖が再起動した

原油高が企業コストを押し上げ、家計を圧迫し、消費が収縮する。需要が蒸発すれば価格は今度は崩落し、産油国の財政まで道連れになる。この供給ショック→需要崩壊という折り返しのメカニズムは、1970年代のオイルショック以来、教科書が繰り返し警告してきたパターンだ。当時と違うのは、市場の連動速度が格段に速くなっていること。ある産地の混乱がリアルタイムで先物価格に乗り、消費者物価に転嫁されるまでの時間が短い。

「ホルムズ海峡の10億バレル規模の石油ショックが、需要を崩壊させようとしている」——Bloomberg, 2026年4月25日

調べてみると、日本が輸入する原油のおよそ9割がホルムズ海峡を通過している。ガソリン代や電気代という形で、すでに家計のレシートに刻まれ始めているわけで、これはどこか遠い話じゃなかった。

「価格が上がれば産油国が潤う」は今回通用しない

通常の供給ショックなら、産油国は高値で売れるから財政的には有利に働く。ところが今回のシナリオはその逆を示している。価格高騰が需要を壊し、需要が崩落すれば価格も反落する。結果として産油国の歳入も同時に沈む、という二段落ちだ。中東の産油国は財政均衡に必要な原油価格が高めに設定されていることが多く、価格の乱高下は財政規律の崩れに直結しやすい。エネルギーショックの余波が産油国の経済不安定につながれば、地政学的な緊張がさらに高まる可能性もある。

この先どうなる

封鎖の長期化が続けば、原油需要崩壊の圧力は数週間内に消費財の価格全体に波及しうる。日本では光熱費・輸送コスト・食料品価格が連動しやすく、家計の可処分所得を削る速度が問題になってくる。一方で需要が本格的に崩れれば、皮肉にも原油価格が急落に転じるシナリオもあり得る——それが「ホルムズが開いた後」の市場に追加の混乱をもたらすかどうかが、次の注目点になりそうだ。