米英同盟に亀裂が走った――同盟国を懲罰リストに載せる選択肢を、ワシントンが内部で検討していたとロイターが報じた。対象はイギリスとスペイン。理由は「イランとの戦争への協力が不十分」。これが事実なら、NATOという枠組みはいったい何だったのか、という話になる。

ペンタゴン内部メールが暴いた「同盟国 制裁」という選択肢

ロイターが入手したとされるペンタゴンの内部メールには、対イラン軍事作戦をめぐって英国とスペインの動きを「不十分」と評価し、制裁の可能性を含む選択肢が記載されていたという。ペンタゴン 制裁 スペイン イギリスという組み合わせは、冷戦後の欧米外交では想定外だった言葉の並びだろう。

「ワシントンはイランとの戦争への支持が不十分として両国を制裁する選択肢を検討していたとされる」(ロイター通信報道より)

英国政府はこの報道を「即座に拒絶」と表明。スペインも同様に反発した。両国の反応が速かった分だけ、ダメージがどこに集中しているかが透けて見えた気がする。制裁を「検討した」という事実だけで、外交的な信頼は相当削れる。

イラン戦争をめぐってNATO内部が割れた現実

ホルムズ海峡周辺の緊張が続く中、欧州主要国は米国の軍事路線とどこまで歩調を合わせるかで、水面下の綱引きを続けてきた。イラン戦争 NATO分裂というシナリオは、これまでは「極端な想定」として扱われてきたが、今回の報道でリアリティが一段上がった印象だ。

欧州側の立場を整理すると、英国もスペインも対イラン制裁には賛同してきた。ただ、「戦争への直接的な軍事関与」となると話が違う。国内政治の事情もあるし、国連安保理の枠組みや国際法上の根拠も求める。そこを「協力不十分」と切り捨てて制裁を検討するなら、同盟の論理が根本から変わることになる。

米英同盟はアングロサクソン外交の基軸として機能してきた。インテリジェンス共有の「ファイブアイズ」も、核戦力の協力関係も、その土台の上にある。制裁という言葉が出た瞬間、その土台が揺れたのは確かだった。

この先どうなる

英・スペインが正式に抗議姿勢を強めれば、NATO外相会議や国連の場での米欧協調にも影響が出てくるだろう。ペンタゴンが「検討しただけで実施していない」と釈明しても、内部文書が出た以上、信頼の修復には時間がかかる。欧州が独自の外交路線を模索する動きが加速する可能性もある。イランとの緊張が続く限り、この亀裂は広がる一方で、埋まる気配は今のところ薄い。米英同盟のゆくえ、しばらく目が離せない。