米中半導体輸出規制が、また一段階きつくなろうとしている。米下院外交委員会が新たなチップ輸出規制法案を前進させたのを受け、中国政府は「グローバルなチップ供給網を損なうリスクがある」と公式に警告を発した。ターゲットは中国だけのはずが、話はそう単純じゃなかった。
日本・韓国・台湾が巻き込まれる理由
半導体のサプライチェーンは、設計・製造・素材・組み立てが複数大陸にまたがって絡み合っている。米国が「一方的に網を断ち切る」形の規制を重ねれば、中国への打撃だけで終わらない。日本の素材メーカー、韓国のメモリ大手、台湾のファウンドリ——すべてが同じ網の上にいる。
すでにここ数年で輸出規制の強化は続いてきた。そこへさらに立法措置が重なれば、自動車から医療機器まで、半導体を必要とするあらゆる産業が影響を受けかねない、というのが中国側の主張だ。ただ、これは脅しではなく、サプライチェーンの物理的な話としてもある程度正確な指摘ではある。
中国は、米下院外交委員会が半導体輸出を標的とした法案を前進させたことを受け、米国の立法動向を注視していると述べた。(Bloomberg、2026年4月25日)
中国商務省は「断固として正当な権益を守る」と報じられている。具体的な報復措置には言及していないが、レアアース・素材の輸出制限カードがちらつくのは想像に難くない。
House Foreign Affairs Committeeが動かしたものの重さ
今回の法案を前進させたのはHouse Foreign Affairs Committee(米下院外交委員会)。この委員会レベルでの承認は、本会議採決への足がかりになる。法案の詳細はまだ開示が限られているものの、対中チップ規制をさらに広範囲・高強度にする方向性だとされている。
米国内でも半導体業界は複雑な立場だ。NVIDIAやインテルにとって中国市場は無視できない売上規模で、規制が強まるたびに株価が揺れる。政治の論理と産業の論理が、同じ国の中でぶつかっている格好だ。グローバルサプライチェーン崩壊リスクを誰より理解しているのは、実は米国の半導体企業自身かもしれない。
この先どうなる
法案が本会議を通過し、上院でも可決されれば、対中輸出規制は「行政措置」から「法律」へと格上げされる。行政措置は次の政権が覆せるが、法律はそう簡単には変えられない。中国がグローバルサプライチェーン崩壊リスクを声高に訴えるのも、この「恒久化」を警戒しているからだろう。同盟国がどこまで米国に追随するか、あるいは静かに距離を置くか——日本企業にとっても、他人事では済まない局面が近づいている。