ウクライナ長期戦は、もはや「長引いてしまった戦争」ではなく「そういう戦争として設計し直された戦争」になりつつある。ニューヨーク・タイムズが報じたのは、欧州が短期終結の幻想を公式に捨てたという話だった。開戦から3年超。EUは長期支援の枠組み構築に動き出したが、誰の目にも見えていないものがある——終わらせ方だ。

米国がいなくなった交渉テーブル

ワシントンの外交リソースは今、イラン核交渉に向いている。トランプ政権がテヘランとの直接協議を優先する中、ウクライナの和平仲介は優先度リストの下の方に押し込まれた格好だ。

「アメリカがイラン交渉に集中する中、ロシアもウクライナも、勝利への道筋も交渉による和平への道筋も見えていない」——ニューヨーク・タイムズ

これが今の状況を一言で言い表している。ロシアは前線で決定的な突破口を開けず、ウクライナは失った領土を取り戻す現実的な手段を持てない。仲介者が席を外した部屋で、双方がにらみ合い続けている。

防衛費GDP比3%——欧州の財布が問われる

出口が見えない分、欧州各国に跳ね返っているのがカネの問題だ。NATO内では防衛費をGDP比2%から3%へ引き上げる圧力が強まっており、ドイツやポーランドはすでに増額路線を打ち出している。欧州防衛費増額は「将来の話」から「今年の予算」の問題になってきた。

ただ、ここで引っかかるのは、増額する防衛費が何のために使われるかがまだはっきりしていないことだ。ウクライナへの支援継続なのか、欧州自身の再武装なのか、あるいは両方なのか。目的が曖昧なまま出費だけが膨らむ構図は、国内政治的に持続しにくい。フランスやイタリアの世論はすでにウクライナ支援疲れを見せており、米国外交のイラン転換が欧州の団結に亀裂を入れるリスクもある。

この先どうなる

短期的には前線の膠着が続く公算が高い。ロシアが消耗戦を選ぶ限り、ウクライナが守り抜くことはできても押し返すことは難しく、欧州は「勝てないが負けさせない」支援を延々と続けることになりそうだ。焦点は2025年末から2026年初頭にかけての欧州各国の予算審議——ここで防衛費増額にどれだけ実体が伴うかで、欧州の「長期戦の覚悟」が試される。米国がイラン交渉の決着後にウクライナへ戻ってくるかどうかも変数だが、それを待つ余裕が欧州にあるかは、また別の話だ。