ホルムズ海峡封鎖の影響で、世界の石油輸送量の約20%を担うこの海峡の通航量が、事実上ゼロに近い水準まで落ち込んでいる——Bloombergが4月25日に報じた。数字だけ見れば「まさか」の事態だが、交渉の現場でも同時に異変が起きていた。
ヴァンス抜きの交渉団、イスラマバードへ
米国の特使団はパキスタンのイスラマバードへ向かう予定だという。ただし、これまで主席交渉担当者を務めていたJDヴァンス副大統領は同行しない。
「イランは戦争終結に向けた米国との直接交渉への期待を低下させた。米国の特使がパキスタンのイスラマバードに向かう見通しだが、今回は主席交渉担当者である副大統領JDヴァンスは同行しない。」(Bloomberg、2026年4月25日)
ここが引っかかった点だった。交渉のトップが外れるのは、単なる日程調整なのか、それとも米国側の優先度が下がったサインなのか。イラン側もすでに直接対話への期待を自ら引き下げており、双方が「期待値を下げる」方向で動いているのが気になるところ。停戦交渉は停滞というより、静かに縮んでいるような印象を受けた。
アジア・欧州の製油所が先に音を上げる
外交が膠着するほど、しわ寄せは現場にくる。アジアと欧州の製油所が抱える原油在庫は着実に減っており、補充の目処が立たない状況が続いている。原油供給危機が長引けば、エネルギー価格は高止まりしたまま推移し、世界経済の回復ペースを鈍らせる。JDヴァンス交渉離脱の報を受けて、市場関係者の間では「出口のスケジュールが見えない」という声が出始めているらしい。
ホルムズ海峡封鎖がここまで長引いた前例は近年なく、今の状況はやはり異例だと改めて感じる。湾岸からアジアに向かうタンカーのルート変更コストも跳ね上がっており、最終的にそのコストを負担するのは輸入国の消費者、ということになりかねない。
この先どうなる
イスラマバードでの協議が何らかの突破口を開けるかどうか。ヴァンス不在の交渉団にどこまで実権があるのかも、まだはっきりしていない。イラン側が直接交渉への期待を下げた以上、間接協議で積み上げられる成果には限界があるとみる向きが多い。ホルムズ海峡の通航量が「ほぼゼロ」から回復するタイミングは、交渉の行方次第——当面、エネルギー市場は落ち着かない週が続きそうだ。