マリ バマコ攻撃が首都を直撃した土曜日、カティ軍事基地の周辺で爆発音と銃声が断続的に鳴り響き、マリ軍は即座に周囲の道路を封鎖した。エチオピアからバマコに戻ろうとしていた旅行者は「便がすべてキャンセルされた」とBBCに証言している。バマコ国際空港は一時閉鎖され、首都の空が突然、遮断された。

北部・中部・首都圏――4都市を同時に狙った攻撃

今回の攻撃が単発のテロと違うのは、その同時性にある。バマコ近郊のカティだけでなく、北部のガオとキダル、中部のセヴァレでも同日に戦闘が確認された。地図上でばらけた4拠点がほぼ同時刻に動いたとすれば、かなり周到な事前調整があったとみるのが自然だろう。マリ軍は「国防・治安部隊が攻撃者を撃退中」と声明を出したが、戦闘が「継続中」との表現を使っており、制圧には至っていなかった。

カティ軍事基地 爆発の報告を受け、米大使館は自国民に「屋内待機、空港周辺への移動を控えるよう」指示。英国外務省はさらに踏み込み、マリへの全面渡航禁止を即日発令した。空港付近の道路には検問が設けられ、車両が次々と検査されている。

「この事案は、近年最大のジハード主義者による攻撃とみられる」――ウルフ・レーシング、コンラート・アデナウアー財団サヘル・プログラム責任者(BBCより)

サヘル ジハード勢力の動向を長く追うレーシング氏がここまで断言するのは、珍しい。サヘル地域では2021年以降、マリの軍事政権がフランス主導の国際部隊を追い出し、代わりにロシアの民間軍事会社ワグネル(現アフリカ軍団)の支援を受ける路線に転換した。その間もジハード系武装勢力は活動を続け、農村部を中心に支配域を広げてきたとされる。今回の攻撃は、その延長線上で首都圏に踏み込んだ形だ。

空港封鎖が象徴するもの――首都「安全神話」の崩れ方

バマコはこれまで、農村部と比べれば比較的安定しているとみられてきた。それだけに空港閉鎖という事実は重い。首都中心部では「落ち着いている」という住民の声もあるが、空港周辺や一部エリアでは銃撃音の報告が続いているらしい。

カティ軍事基地は、2021年のクーデターでも関係した施設として知られる。首都防衛の要所でもあり、そこを狙ったという選択自体がシンボリックな意味を持つ可能性がある。単純な軍事的打撃というより、政権への心理的圧力を意図した攻撃だったんじゃないかという見方もできそうだ。

この先どうなる

マリ軍政がワグネル系部隊の支援を受けつつも、首都圏での大規模攻撃を防ぎきれなかったとなれば、政権の求心力に直接響いてくる。サヘル ジハード勢力が首都圏へのアクセスを「やれる」と示した今、隣国ブルキナファソやニジェールへの波及も警戒が必要になってくるだろう。バマコ国際空港の再開時期と、マリ軍の反撃の規模――この二つが次の焦点になる。