ネタニヤフ首相の健康状態が、戦時下の最高機密として扱われていた——そんな事実が金曜日に突然、首相官邸から発表された。2024年に前立腺肥大の手術を受けた後の経過観察で腫瘍が発見され、放射線治療を受けていたというのだ。発表のタイミングは治療がすでに終わった後。つまり国民は、首相が治療中だったことをリアルタイムでは知らされていなかった。

放射線治療と前立腺がん、その治療期間に何が決まっていたか

前立腺がんの放射線治療は、一般に数週間から数カ月にわたる。倦怠感や集中力の低下が副作用として報告されることもある治療だ。その期間、ネタニヤフ首相はガザへの軍事作戦の指揮を続け、イランとの緊張が何度も臨界点に達する局面でも最前線に立っていた。

イスラエルは核抑止力を持つとされる国家であり、首相の判断力は文字通り地域の安定に直結する。治療の副作用が意思決定にどう影響していたか、現時点で公式な説明はない。

「イスラエルの指導者は2024年に前立腺肥大の手術を受けていた。その後の経過観察で腫瘍が発見され、放射線治療を受けたことが、金曜日にネタニヤフ首相の事務所から明らかにされた」(The New York Times)

首相官邸は「治療は終了し、職務を継続している」と説明している。ただ、なぜ治療中に公表しなかったのかという問いには答えていない。政治的に最も都合の悪い時期に情報を隠す——そう受け取られても仕方ない状況ではある。

イスラエル国内でも「知る権利」をめぐる亀裂

イスラエルでは以前から、ネタニヤフ首相への権力集中や司法制度改革をめぐって国民の間に深い分断がある。今回の健康情報の非開示は、その対立構図をさらに鋭くする材料になった。

民主主義国家において、指導者の健康状態は「個人情報」か「公共の情報」か。アメリカでもバイデン前大統領の認知機能をめぐって同様の論争が起きたばかりで、この問題はイスラエルだけの話じゃない。各国の有権者が共通して直面するテーマになってきている。

イスラエル国内の野党や一部メディアはすでに、治療期間中の意思決定プロセスの透明化と、今後の定期的な健康情報開示を求める声を上げ始めた。首相官邸がどこまで応じるかは、まだ見えていない。

この先どうなる

放射線治療が終了し、首相は職務を続けているとされるが、前立腺がんは再発リスクを伴う疾患でもある。今後の定期検査の結果次第では、再び同様の情報管理が問われる局面が来る可能性がある。国内の政治的圧力が高まれば、何らかの形で「健康情報の開示ルール」を明文化する議論が浮上するかもしれない。ガザ停戦交渉やイランとの外交が山場を迎えるタイミングと重なれば、首相の指導力そのものへの疑念が再燃するリスクも残る。治療は終わった。でも、この問題が終わったとは言いにくい。