トランプ イラン交渉の水面下ルートが、代理人の出発前に本人の手で閉じられた。パキスタンの首都イスラマバードで予定されていた秘密交渉——その打ち切りをトランプ氏自身がSNSに投稿した事実は、外交的なシグナルとして読むべきだろう。

「たった今キャンセルした」——Truth Socialへの投稿が全てだった

2025年5月、トランプ大統領はTruth Socialにこう書き込んだ。

「私はイランと会うためにパキスタン・イスラマバードへ向かう代理人の訪問を、たった今キャンセルした」

キャンセルの理由は書かれていない。交渉が決裂したわけでも、イラン側が拒否したわけでもなく、米国側が一方的に止めた格好だ。なぜイスラマバードが交渉地として選ばれていたのかも公式には明かされていないが、パキスタンはかつてから米イラン間の非公式チャンネルとして機能してきた歴史がある。

気になるのはタイミングだった。ホルムズ海峡をめぐる緊張が続くなか、イランへの圧力を維持したい米国と、経済制裁の緩和を求めるイランの間で、何らかの接触が進んでいた可能性がある。そこへ突然のキャンセル。イスラマバード外交中止の背景に何があったのか、現時点では推測の域を出ない。

ホルムズ海峡の緊張下で閉じた交渉ドア、次の選択肢は

イランをめぐる情勢はここ数週間で急速に動いている。革命防衛隊による貨物船拿捕、米軍機撃墜事案、そして原油輸送の動脈であるホルムズ海峡の緊張——そうした状況のなかで、外交ルートが断たれたことの重みは小さくない。

トランプ政権が今後取りうる選択肢は大きく二つに絞られてきた。一つは追加制裁の強化、もう一つは軍事的プレッシャーの拡大。どちらにしても、対話のテーブルが存在しない状態でのエスカレーションは、誤算のリスクを跳ね上げる。

ホルムズ海峡緊張の影響は原油市場にとどまらず、アジア・欧州のエネルギー調達にも直結する。日本も例外ではない。

この先どうなる

トランプ氏がイスラマバード外交中止を「交渉のカード」として使っているとすれば、近く別ルートでの接触が浮上する可能性はある。一方、これが交渉決裂の予兆なら、制裁拡大か軍事オプションの検討が表面化するかもしれない。いずれにせよ次の動きは早そうで、Truth Socialが最初の震源地になるだろう。