ガザ地方選挙2025、投票所の外に立っていたのはハマスの警察官だった——ロイターがそう報じたとき、この選挙の「意味」がひっくり返った気がした。2006年以来、実に19年ぶりとなる選挙がガザで行われた。だが現場を追うと、民主主義のプロセスとは別のレイヤーが静かに動いていたらしい。
ハマス抜きの投票、でも警備はハマスが担当
今回の選挙でガザ内の投票地となったのは中部の都市ダイル・アル・バラハただ一か所。戦争による破壊が比較的軽微だったことが理由とされている。西岸地区でも同時に地方選が行われ、対象有権者は100万人を超えた。
ハマスは候補者として立候補を禁じられた。複数の他派閥も、候補者がPLO(パレスチナ解放機構)の権威を認める要件を拒否し、ボイコットに回った。ファタハ率いるパレスチナ自治政府が仕切る選挙の枠組みに、ハマスは「外」から関わるかたちになったわけだ。
「ハマスの警察部隊が投票所周辺の警備活動に関与していた」——Reuters / BBC News
ロイターが伝えたのはその矛盾そのもの。候補者リストには名前がなくても、銃と制服は投票所の外にある。選挙という仕組みが動いているあいだ、地上の秩序を管理していたのは選挙から排除されたはずの組織だった。
19年ぶりの投票、ダイル・アル・バラハで何が見えたか
ダイル・アル・バラハには12か所の仮設投票所が設けられ、約7万人の有権者が参加資格を持っていた。開票結果は土曜夜か日曜に出る見通しで、ロイターはハマスに近いとみられる候補者リストが一部で支持を集めていたとも報じている。
パレスチナ自治区のハマス統治という現実は、2007年にハマスがファタハをガザから追い出して以来ずっと続いている。今回の選挙はその統治に楔を打ち込む試みだったのか、それとも外形的な正統性を添えるための装置になったのか。見ていると、答えはまだ出ていないというより、問い自体が宙に浮いたままになっている。
この先どうなる
トランプ政権が主導した停戦合意のもと、ガザでは現在も脆弱な休戦が続いている。今回の選挙結果がパレスチナ自治政府とハマスの関係にどう影響するかは、今後数週間で徐々に見えてくるはずだ。ガザ地方選挙2025が「民主的な転換点」になるのか、それとも現状追認の儀式で終わるのか——次の注目は、当選したダイル・アル・バラハの新議員たちが実際に何を動かせるかにかかっている。