ジャレッド・クシュナーが核交渉の場に姿を見せた。トランプ大統領の義息であるクシュナーと、中東特使スティーブ・ウィトコフが土曜の朝にパキスタン・イスラマバードへ向けて出発したとホワイトハウスが発表。ただしイラン側は「米国との直接会談は予定していない」と即座に打ち消した。同じ都市にいながら、机を挟まない——これが今回の交渉の奇妙な出発点だ。
パキスタンが「仲介役」に 間接交渉という選択肢
イラン外務省のバガエイ報道官によれば、アラグチ外相とともに金曜夜にイスラマバード入りしたことは認めている。ただしイランの立場はパキスタン側を通じて米国へ伝達されるという段取りで、事実上の間接交渉という構図が出来上がっている。
なぜパキスタンなのか。イスラム圏の主要国でありながら、米国ともイランとも一定の外交チャンネルを持つ——その絶妙な立ち位置が今回選ばれた理由らしい。外交の舞台裏を調べると、こういう「第三国経由」は決裂リスクを抑えながら交渉の糸口を探る古典的な手法で、2015年の核合意でもオマーンがその役割を担っていた。
「イラン側は対話を求めている。協議が前進すれば、バンス副大統領も現地入りする待機状態にある」― カロライン・レビット 大統領報道官(BBC経由)
バンス副大統領が「待機中」という情報も引っかかる。副大統領が直接飛べる段階まで進めば、それはもう歴史的な局面になる。ホワイトハウスがその可能性をあえて口にしたのは、イラン側へのシグナルでもありそうだ。
ヘグセスの警告 ホルムズ封鎖「グローバル規模に拡大」
外交が動く一方、軍事的圧力も緩む気配がない。ヘグセス国防長官は同日の会見で、米国によるホルムズ海峡封鎖が「拡大し、グローバルな規模へと発展しつつある」と警告した。そのうえでイランに求めたのはシンプルな一点——核兵器開発を「検証可能な形で」放棄することだ。
米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始して以来、テヘランはホルムズ海峡の船舶通行を制限。世界の原油輸送量の約2割が通過するこの海峡が揺れたことで、原油価格は世界規模で急騰している。スティーブ・ウィトコフがイスラマバードに向かっている間も、封鎖は続いている。
この先どうなる
今回の間接交渉がどこへ向かうかは、パキスタン側がどれだけ正確にメッセージを双方へ届けられるかにかかっている。イランが「直接会談なし」の姿勢を崩さない限り、交渉は遅くなる。ただ、クシュナーとウィトコフという「大統領に直接つながる二人」が現地入りした事実は軽くない。バンス副大統領の「待機」情報も含め、今後48時間の動きはウォッチし続ける価値がある。ホルムズ封鎖が長引けば原油価格への影響が日本にも波及するだけに、日本時間の日曜から月曜にかけての続報に注目したい。