現代自動車の決算を見て、思わず数字を見直した。2026年第1四半期の純利益が前年同期比32%減——市場予測をここまで外してくるのは、単なる業績悪化じゃない。構造的な何かが壊れ始めているサインじゃないか、と感じた。

関税32%減の衝撃——北米依存モデルの死角

現代が北米市場に賭けてきたのは周知の話だった。ところがトランプ政権が発動した自動車関税が、その賭けを裏目にひっくり返した。韓国から輸出する車両にかかるコスト増は、価格転嫁か利益圧縮かの二択を迫る。現代が選んだのは後者——それが今回の数字に出た格好だ。

自動車関税の影響は現代だけじゃない。ただ、北米向け輸出への依存度が高い韓国メーカーにとって、打撃の深さは他社より一段と大きかったらしい。

「米国の関税と需要低迷が韓国の自動車大手の業績を圧迫した」(Bloomberg, 2026年4月23日)

この一文に全部詰まってる。関税と需要の二重苦だ。

ホルムズがサプライチェーンを兵糧攻めにした

もう一つ引っかかったのが、物流コストの話だった。ホルムズ海峡の緊張が長引くほど、タンカーの保険料は上がり、迂回ルートのコストが乗っかる。その皺寄せが製造原価に影響して、収益を削っていく。現代は年間400万台超を世界に出荷するグローバル・サプライチェーンの要だから、物流コストの変動に対する感度が異様に高い。

イラン情勢の話が出ると「遠い話」と感じる人も多いだろうけど、現代の決算という実体経済の数字に刻まれた以上、そうも言ってられない。ホルムズの緊張と韓国の自動車産業は、思ったより近い距離にあったということだ。

この先どうなる

現代側は生産体制の見直しや北米での現地生産拡大で関税リスクをヘッジしようとしているとされる。ただ、工場の新設や増強には年単位の時間がかかる。それまでの間、自動車関税が続けば、第2四半期以降も数字は重たいままだろう。

ホルムズ情勢については、外交的な緊張緩和が起きない限り、物流コストの高止まりは続く見通し。韓国の自動車業界全体に対する投資家の目線が厳しくなるのは避けられないんじゃないか。次の決算発表が一つの分岐点になる。