ドイツPMIが「プラス圏維持」という市場予想を裏切った。4月23日にBloombergが報じたデータによれば、ドイツ民間部門の総合活動指数は収縮圏に沈み、そこを主導したのは製造業ではなくサービス業だったらしい。長らく「最後の砦」と言われてきたセクターが崩れたとなると、話は単なる景気減速では済まなくなってくる。

サービス業まで落ちた——イラン戦争が動かした数字

ここ数年のドイツ経済は、製造業の不振をサービス業の底堅さで相殺してきた構図があった。ところが今回はそのサービスセクターが急落した。背景にあるのがイラン情勢で、ホルムズ海峡周辺の緊張がエネルギーコストを押し上げ、消費者心理を一気に冷やしたとみられている。

German private-sector activity unexpectedly contracted as the Iran war triggered a plunge in services. — Bloomberg, April 23, 2026

地政学リスクが実体経済に波及するまでのタイムラグは、かつてより明らかに短くなっている。ホルムズ海峡で何かが起きてから、ドイツのレストランや小売店の客足が減るまで、もはや数ヶ月もかからない時代になったってことだ。

ECBは「利下げ加速」か「スタグフレーション」か、どちらを選ぶ

ユーロ圏のGDPの約3割を占めるドイツが失速すると、ECBの金融政策はかなり難しい局面に入る。景気を支えるために利下げを急げば、エネルギー高に起因するインフレを再燃させるリスクが残る。かといって据え置きを続ければ、ユーロ圏景気後退が現実味を帯びてくる。市場が「スタグフレーションの深化か利下げ加速か」という二択で揺れているのは、そういう事情からだ。ユーロ圏景気後退を織り込む動きが一部の債券市場で出始めているのも、あながち過剰反応とは言えない。

この先どうなる

最大の注目点はECBの次の一手だろう。5月の理事会に向けて、今回のPMI悪化がどれだけ「一時的なショック」と判断されるか、それとも「趨勢的な悪化」と捉えられるかで、利下げペースが変わってくる。イラン情勢がこのまま長期化するようなら、エネルギーコストの高止まりは続く可能性が高く、ドイツのサービス業の回復は想定より遅れるかもしれない。ドイツPMIの次回発表と、ECBのラガルド総裁の発言——この2点を押さえておけば、ユーロ圏の今後の方向性はかなり見えてくるはずだ。