ポール・サンキーが、珍しく言葉を選ばなかった。Bloombergの取材に対し、サンキー・リサーチの代表は「今後2〜3ヶ月、原油市場は継続的かつ絶対的な惨事に直面する」と言い切った。しかも付け加えたのが、ホルムズ海峡が数日以内に再開されたとしても、混乱は避けられないという一言。これがちょっと引っかかった。
「確定している」——サンキーが2〜3ヶ月を断言した理由
通常、アナリストはリスクをグラデーションで語る。「懸念がある」「可能性がある」——そういった言い回しが相場だ。だが今回のサンキーの発言は、トーンが違った。
「状況はさらに悪化する。それは確定しているからだ」
理由はシンプルで、むしろそこが怖い。世界の原油輸送量の約2割が通過するホルムズ海峡の機能停止は、すでにサプライチェーンの深部まで波及してしまっている。タンカーの航路変更、保険コストの急騰、荷受け港のスケジュール崩壊——こうした影響は、封鎖が解けた瞬間に元通りになるものじゃない。ドミノを止めても、倒れたドミノは戻らないのと同じ話だ。
ホルムズ封鎖の傷が「即日回復」しない3つの現実
実際にサプライチェーンの現場で何が起きているかを整理すると、少なくとも3つの層で混乱が重なっている。まず物流層——迂回航路を取ったタンカーは往復で数週間単位のロスが生じる。次に契約層——スポット市場での価格急変は長期契約の見直しを迫り、交渉が決着するまで供給の一部が宙に浮く。そして心理層——トレーダーと精製業者が在庫積み増しに動けば、需給のひずみはさらに拡大する。ホルムズ海峡封鎖影響はどの層も、封鎖解除と同時にリセットされるわけじゃない。原油市場崩壊という言葉が大げさに聞こえなくなってきた、というのが調べてみた実感だった。
この先どうなる
サンキーの見立てが正しければ、原油価格の乱高下は少なくとも2026年の夏場まで続く計算になる。市場の注目は今や「いつ封鎖が解けるか」ではなく、「解けた後にどれだけ時間がかかるか」に移りつつある。ポール・サンキーが「確定している」と言い切ったのは、希望的観測を排除した上での話。ガソリン価格や航空燃料コストへの波及は、市民レベルでも夏以降に実感することになるかもしれない。最悪のシナリオは来てからじゃ遅い——そういう類の警告だった。