S&P500が史上最高値を更新した日、テスラの株価は時間外取引で急騰していた。きっかけは二つ重なった。停戦延長という地政学的な「小休止」と、キャッシュフローと利益が市場予測を上回ったテスラの決算。それだけ聞けば素直に強気になれそうだが、調べていくうちに引っかかるものがあった。

テスラ急騰と停戦延長——なぜ同じ日に重なったか

Bloombergが報じたところによると、資産運用大手シュローダーズは「決算相場がさらに株式を押し上げる」と強気の見通しを示している。テスラの数字は確かに強かった。キャッシュフローと利益、どちらも市場コンセンサスを超えた。EV需要の鈍化が語られていた時期だけに、このサプライズは効いた。

「S&P 500 Climbs to All-Time Highs; Tesla Jumps Late」——Bloomberg Markets Wrap, April 22

停戦については「延長」という言葉を使った点が重要で、「終結」ではない。市場はこの違いをどこまで意識しているか、やや怪しい。和平ムードを織り込む速度が早いほど、次の衝撃が来たときの反動は大きくなりやすい。

ホルムズ海峡リスク——市場が無視しているコスト

ここが個人的に一番引っかかったところだった。テスラ決算やシュローダーズの強気コメントはニュースとして流れやすい。でもホルムズ海峡の緊張が「依然くすぶっている」という事実は、見出しになりにくい。

停戦延長は停戦であって終戦ではなく、海峡の通航リスクが消えたわけではない。世界の原油タンカーの約3割が通過する航路が不安定なままで、株式市場だけ最高値圏にある、という状況はそれなりに特殊らしい。

テスラ決算で象徴されるように、決算シーズン自体は悪くない。問題は、地政学リスクの織り込みが非常に薄い水準で市場が最高値をつけている点で、バッファがほぼない状態とも言える。

この先どうなる

シュローダーズの言う「決算相場の継続」シナリオが実現するには、停戦延長がそのまま有効に機能し続けることが前提になる。テスラ以外の主要企業決算が続く数週間は、上昇の勢いが続く可能性はある。

ただ、ホルムズ海峡を巡る動きが再び緊張した場合、エネルギーコストと市場センチメントが同時に動く。そのとき史上最高値圏から始まる下落は、過去の局面より振れ幅が出やすい構図になっている。次の決算発表と地政学ニュース、両方の動きを同時に見ておく必要がありそうだ。